2016 Fiscal Year Research-status Report
肥満におけるアディポカイン分泌異常による高血圧・腎障害発症機序の解明
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15K19443
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河原崎 和歌子 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任研究員 (50424594)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 肥満 / 高血圧 / 食塩感受性 / klotho / 腎尿細管 / Na輸送体 |
Outline of Annual Research Achievements |
肥満は増加傾向に有り、高血圧や心血管病及び慢性腎臓病発症と密接に関連している。肥満が高血圧を来しやすい原因として、血圧に対する食塩感受性が亢進していることが臨床試験で示されているがその機序は不明である。また、肥満者では、白色脂肪細胞から放出されるアディポカインの合成、分泌の異常が認められており、例えば2型糖尿病や肥満者の血漿では、レプチンが上昇し、腎保護的に働くアディポネクチンは低下している。申請者らは肥満者では、炎症やインスリン抵抗性を惹起、増強するアディポサイトカインが増加していることに注目し、肥満に特有のアディポカイン異常が腎尿細管におけるNa輸送体の異常を惹起して食塩感受性高血圧発症の原因になると推察し、解析を行った。まず、食塩感受性高血圧モデルラットの肥満型と非肥満型を比較において、同量の食塩を負荷しても、肥満型で高血圧及び腎障害を生じやすいこと、すなわち血圧の食塩感受性が亢進していることを発見した。また、肥満型では高食塩摂取時に腎尿細管のNa輸送体異常が生じていることを認めた。そこで、肥満において、高食塩摂取時に腎尿細管の責任Na輸送体を活性化しうる血中アディポカインの異常が存在するかににつき、検討をすすめた。様々なモデルラットやマウスを用いて、食塩感受性高血圧に関連する血中のアディポカインを含めたホルモンや分子を検討する過程において、抗加齢因子klothoが食塩感受性高血圧と強い関連を示すことが分かった。また、腎および血液中のklotho発現が低下したマウスは食塩感受性高血圧を示すが、ある腎尿細管Na輸送体の機能異常が原因の1つであることを明らかにした。肥満や加齢において血圧の食塩感受性が亢進する分子機序は未解明であり、本研究による解明を目標としている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理由:肥満型と非肥満型ラットの比較において、同量の食塩を負荷しても、肥満型で食塩感受性が亢進して高血圧を発症することを発見し、その責任と考えられる腎尿細管Na輸送体を確認した。さらに、抗加齢因子klothoの発現低下が食塩感受性高血圧発症と強く関連し、その分子機序として特定の腎Na輸送体の機能亢進を介することを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は肥満において高食塩摂取時に腎尿細管の責任Na輸送体を活性化しうるアディポカイン異常の探索を予定している。肥満では脂肪細胞が内分泌器官として腎尿細管からのNa再吸収制御に関わることが想定され、アディポカイン異常の是正は食塩感受性高血圧症の新たな治療標的として期待される。また、klotho発現低下に伴う食塩感受性高血圧の発症は、特定の腎Na輸送体の異常が原因の1つであることを示したが、その分子機序を明らかにし、高齢者の高血圧治療の新たな標的としたい。
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Causes of Carryover |
研究に使用する検査や試薬、解析機器の変更が生じたため。使用動物の育成が遅れたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ラットやマウスの購入、抗体、試薬、購入を行う。
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Research Products
(2 results)