2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K19452
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
武田 尚子 滋賀医科大学, 医学部, 特任助教 (20737655)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 沈着腎症 / 蛋白質同定 |
Outline of Annual Research Achievements |
糸球体疾患の診断は腎生検による組織診断がゴールドスタンダードだが、現在も既知の疾患に分類できない症例が存在する。われわれの施設において、蛋白尿にて腎生検を施行し、糸球体基底膜に沈着物を認める、いわゆる沈着腎症を経験した。本例は、これまで多くの施設において精査を行った結果、既知の疾患に分類されなかった。また、本例は同一家系内に同様の病態を有していることより、なんらかの遺伝子異常に起因して糸球体への沈着が生じている可能性が高いと考えられた。そこで、レーザーマイクロダイセクションにより糸球体を分離し、LC-MS/MSによる解析を行い、病因蛋白質を同定することとした。 昨年度予定の手技にて構成蛋白質の同定が可能か予備検討を行い、通常解析に用いる資料量の20%相当の試料の回収にて40種類程度の糸球体構成蛋白質の同定が可能であることを確認し、本症例においても同様の手技にて同定が可能であることを確認した。引き続き本症例の検体にて同定を行う予定であったが、当初の予定より必要となる糸球体量が多かったために、同様の条件を満たし、十分な量の糸球体を採取できる対照検体の確保が困難であった。そのため、対照検体の選定、確保に並行して患者血清において異常蛋白質を同定しうるかの検討も併せて行うこととした。本症例の血清検体と、本症例における治療の過程で行った血漿交換療法時に採取したろ過血清、治療後の血清、対照群の血清検体を電気泳動にて分離、比較し、本症例の血清に特異的な血清蛋白質の同定を試みた。電気泳動での分離にて、高分子量の蛋白質が本症例の治療前、治療後血清のみにて検出されたため、その蛋白質を分離、抽出し、LC-MS/MSにて解析を施行した。その結果、8種類の蛋白質を同定した。 現在は対照群となりうる組織検体も確保しており、糸球体構成蛋白質を同定し、新たに検出した血清蛋白質とも比較し病因蛋白質の同定を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度中に対象検体の蛋白質同定を終了し、続く解析に進行している予定であったが、当初の予定より必要となる糸球体量が多かったために、同様の条件を満たし、十分な量の糸球体を採取できる対照検体の確保が困難であり、同定を施行できなかった。糸球体の検討は進めることができなかったが、血清蛋白質を解析することができ、今後の病因蛋白質の同定に役立つと考えている。現在は対照検体を確保しており、手法は確立しているため、予定通り蛋白質同定を実施し、解析を進めていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
対象検体を用い、レーザーマイクロダイセクションにて糸球体を分離し、蛋白質解析を行い、候補蛋白質を絞り込む。絞り込んだ候補蛋白質それぞれに対して本疾患との関連を検討し、沈着を起こしうるか検討を行う。検出した血清蛋白質との関連についても検討を行う。絞り込んだ病原候補蛋白質に対する抗体を作成し、沈着腎症、他の沈着物を認める糸球体疾患、正常糸球体の腎生検をそれぞれ免疫染色し、沈着物に対する染色性を検討し、沈着腎症の原因物質を同定する。同定した蛋白質が本疾患に特異的な染色を示すか他の疾患に対する免疫染色を施行し検討する。病因蛋白質が明らかになった時点で再度実験計画を立案し、倫理委員会の承認を得、患者の同意を得たのち、患者検体から病因遺伝子のクローニングを行っていく。
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