2016 Fiscal Year Annual Research Report
Chronic kidney disease (CKD) and Cognitive impairment: Possible mechanisms of Cerebro-renal interaction
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15K19461
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
渡邉 公雄 東北大学, 大学病院, 医員 (20595607)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 脳腎連関障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
CKDにおける脳の機能的および構造的障害はこれら様々な因子の連関によりもたらされるものと推測される.しかしながら,この詳細な機序は現時点で明らかにされていない.そこで,今回我々は腎毒性物質であるアデニンをラットに投与した腎障害モデルラットを用いて,これを明らかにすることを目的とした研究を行った.我々は慢性腎臓病(Chronic kidney disease, CKD)における認知機能障害の機序を解明するために,腎毒性物質のアデニンを用いたCKDモデルラットを用いた検討を行った.CKDラットの半数で海馬の組織障害を認め,さらに詳細な解析により,この機序として酸化ストレス亢進,抗酸化系の障害,レニン-アンギオテンシン-アルドステロンシステム(RAS)活性化,神経伝達物質の変化が関与しているものと推測された.本研究では,全体として行動実験における学習進度にコントロール群とCKD群で有意な差を認めなかった.しかし,海馬神経細胞の障害がみられたCKDラットでは行動実験の成績が不良であるとともに,遊泳速度が速いこと,酸化ストレス亢進,抗酸化システムの障害,RAS活性化などの所見が得られた.本研究にはいくつかのリミテーションがあるが,海馬組織障害を伴う認知機能障害に関与すると推測される因子として,酸化ストレス亢進,抗酸化システム障害,RAS活性化,神経伝達物質の変化など重要なファクターを示すことができた.これらの所見は今後の本分野の研究を進めるにあたっての基礎的な重要な知見となると考えられた.これらの各要因に関する詳細な検討が脳腎連関障害の機序を明らかにするために,今後必要であると考えられた.
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