2015 Fiscal Year Research-status Report
プロテオーム解析を用いた慢性炎症性脱髄性多発神経炎の免疫標的分子の同定と病態解明
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15K19475
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
別府 美奈子 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70623669)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 慢性炎症性脱髄性多発神経炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)は自己免疫性ニューロパチーとされるが、免疫標的分子が同定されておらず、病態は解明されていない。本研究は、プロテオーム解析技術を用いて、CIDP患者血清中のIgGが免疫反応する分子を、培養細胞株や神経組織から抽出した蛋白質中から探索し、病態に関与する新規エピトープを明らかにすることを目的とする。 本研究では、「電気泳動を用いた抗原探索法」、「免疫沈降法を用いた抗原探索法」、「プロテインアレイを用いた手法」の3つのプロテオーム解析手法を用いて、CIDP患者血清中のIgGの標的抗原探索を行う。 「電気泳動を用いた抗原探索法」では、ブタの末梢神経から抽出した蛋白質を抗原とし、患者血清を1次抗体として二次元電気泳動・ウェスタンブロット法を行い、候補となる蛋白質を探索した。得られた候補蛋白質については、合成蛋白質を用いてウェスタンブロット法を行い、多検体での検証を行い、組織・細胞の免疫染色でその分子の局在を明らかにした。その結果、CIDP患者の一部の血清中IgGがvinculinという分子に強く反応することを示した。 「免疫沈降法を用いた抗原探索法」では、schwannoma細胞株を用いて抗原探索を行い、複数の標的抗原候補を同定した。 「プロテインアレイを用いた手法」については、バイオインフォマティクスのデータベースを使用して、神経組織の細胞膜に局在する蛋白質を選択したカスタムアレイの作成を行った。今後、これを用いて、CIDP患者血清の自己抗体プロファイルについて検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究ではプロテオーム解析手法を用いて、慢性炎症性脱髄性多発神経炎の新規エピトープを明らかにすることを目的としている。本研究では、これまでにCIDP患者の一部の血清中IgGがvinculinという分子に反応することを示し、雑誌論文に報告した。 またさらに新たな分子を探す試みとして、プロテインアレイを作成し準備を終えている。
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Strategy for Future Research Activity |
プロテインアレイを用いた解析を行い、CIDP患者血清の自己抗体プロファイルを明らかにし、ここで得られた有望な免疫標的分子候補については、ウェスタンブロット法で検証し、さらに多症例での検討を定量的に行うために、ELISAの作製を試みる。
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Causes of Carryover |
本年度の予算からは主にプロテインアレイの費用として1,043,280円を支払い、その他の経費を支払った残額90,555円を翌年に持ち越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
Western blottingに必要な合成蛋白質やELISA作製に必要な抗体などを購入する費用に加える予定である.
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[Journal Article] Autoantibodies against vinculin in patients with chronic inflammatory demyelinating polyneuropathy.2015
Author(s)
Beppu M, Sawai S, Satoh M, Mori M, Kazami T, Misawa S, Shibuya K, Ishibashi M, Sogawa K, Kado S, Kodera Y, Nomura F, Kuwabara S.
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Journal Title
Journal of neuroimmunology
Volume: 287
Pages: 9-15
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant