2015 Fiscal Year Research-status Report
アルツハイマー病におけるタウ病変、ミクログリア活性、アミロイド蓄積の病態関連研究
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15K19481
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Research Institution | National Epilepsy Center, Shizuoka Institute of Epilepsy and Neurological Disorders |
Principal Investigator |
寺田 達弘 独立行政法人国立病院機構(静岡・てんかん神経医療センター臨床研究部), 神経内科, 医師 (80550178)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | アルツハイマー病 / タウ / PET / アミロイド |
Outline of Annual Research Achievements |
アルツハイマー病は三大認知症の一つであり、高齢化社会の到来とともに増加の一途をたどっていおり、介護量の増加が社会に与える影響は大きい。アルツハイマー病の主要病理はβアミロイド沈着と神経原線維変化(タウ蛋白病変)と考えられているが、タウ病変の生体イメージングは最近開始されたところであり、タウ病変が脳内環境に与える影響などとの関連は未だ不明である。アルツハイマー病のタウ蛋白病変を [11C]PBB3を用いたポジトロン断層法(PET)で評価し、活性化ミクログリアのトレーサーである[11C]DPA713を用いて脳内炎症を評価するとともに、認知機能障害、βアミロイドの沈着との関連を検討を行っている。 アルツハイマー病症例の臨床評価、PET撮像を完了し、健常対照群の撮像を継続している。また、新規トレーサーである[11C]PBB3のPET画像からBinding potential (BPND)画像の作成方法する方法を確立した。[11C]PBB3のBPNDはBraak分類にそった広がりを示し、[11C]PBB3がアルツハイマー病におけるタウ病変の評価に有用であり、病態評価に応用可能であることが確認できた。さらに、全般的認知機能と[11C]PBB3のBPNDの上昇とは相関関係を示したことから、タウ病変の広がりが認知機能の低下に関連することが示された。さらに、[11C]DPA713のBPNDの上昇はタウ病変と重なり合う傾向にあり、タウ病変と神経炎症との関連が示唆された。 今後は、アミロイド病変を評価する[11C]PIBのBPNDとタウ沈着との関連を評価するとともに、脳内タウ蛋白の沈着過程が、βアミロイドの沈着や活性化ミクログリア、臨床症状に与える役割を明らかにしていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アルツハイマー病症例の臨床評価、PET撮像は完了している。データ解析に関しては、[11C]PBB3、[11C]DPA713に関して、Simplified reference tissue model: SRTMを用いた、Binding potential (BPND)画像の作成方法の条件設定をおこなった。これに伴い、BPNDパラメトリック画像をもちいた統計画像解析ソフトstatisitical parametric mapping(SPM)による統計画像解析が可能となった。アルツハイマー病症例に関して、[11C]PBB3、[11C]DPA713のBPNDパラメトリック画像の作成は完了している。さらに、現在撮像を完了した健常対照群の[11C]PBB3、[11C]DPA713のBPNDパラメトリック画像との比較をSPMにておこなった。結果、AD症例においてタウ蛋白の沈着はBraak分類によるタウ病変の広がりと類似した広がりを見せた。また、アルツハイマー病では[11C]DPA713の集積が上昇しており、神経炎症の存在が明らかであった。また、[11C]PBB3のBPNDの上昇と[11C]DPA713のBPNDの上昇はオーバーラップしており、タウ沈着と神経炎症が同時に存在することが明らかになった。研究成果は、PBB3実証研究5thミーティングにて発表を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
アルツハイマー病症例の臨床評価、PET撮像は完了している。前年度に引き続き、健常対象群のPET撮像を完了させる。これにともない、健常対照群のBPNDパラメトリック画像の作成を完了させ、アルツハイマー病群との比較検討をSPMを用いて検討する。また、アルツハイマー病群の[11C]PIBのBPNDパラメトリック画像を作成し、[11C]PBB3のBPNDの上昇との相関関係をregion of interest(ROI)法を用いて検討する。結果は、日本神経科学会にてポスター発表し、また、society for neuroscience 2016にて国際学会での発表を行う。さらに、研究成果は英文紙へ論文投稿し、広く研究成果を発信する予定である。
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Causes of Carryover |
申請時の計画にのっとって、必要に応じて研究費を執行したが、当初の見込額と若干異なり、軽度ながら残額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
申請時の研究計画からの変更はない。前年度の研究費を含め、予定どおり研究を進めていく。残額は2016年に開催される国際学会の参加費として計上する予定である。
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Research Products
(2 results)