2015 Fiscal Year Research-status Report
C型レクチンMincleの中枢脱髄疾患エフェクター相での役割に基づいた治療法開発
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15K19490
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
篠田 紘司 九州大学, 大学病院, その他 (70747998)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | Mincle / オリゴデンドロサイト / ミクログリア |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、マウス及びヒト病理検体を用いて中枢神経におけるMincle分子の発現を検討した.抗マウスMincle抗体は、生体防御医学研究所分子免疫学より提供頂いたclone 1B6、Bioss社製のrabbit polyclonal抗体を用いた.実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)を誘導したマウスにて、誘導前、発症前、発症直後、ピーク時、慢性期の経時的なパラフィンブロックを作成し、その発現を検討したところ、EAEピーク期においてマウス大脳では一部ニューロンに、小脳ではオリゴデンドロサイト様の細胞に、脊髄ではオリゴデンドロサイトと一部ミクログリア様細胞にその発現が認められ、慢性期にはやや減弱している様子が観察された.これらの中枢神経環境中に存在するMincleの役割を検討するため、2D2マウスを用いた受動的EAEを現在準備中である. 抗ヒトMincle抗体は生体防御医学研究所分子免疫学より提供頂いたclone 13D、Abcam社によるclone AT16E3、LSBio社製のclone 2A8、Sigma Aldrich社製のrabbit polyclonal抗体を用いて染色性を検討した.MS患者剖検脳サンプルでは、13D cloneは染色性が確認されず、AT16E3およびrabbit polyclonal抗体にて、脱髄病変周囲に広範に、形態上オリゴデンドロサイトに発現が確認された.一部はミクログリア様の細胞に発現を認めた.その発現の詳細なパターン解析、および蛍光多重染色を用いたMincle陽性細胞の解析を今後継続して検討する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ヒト多発性硬化症剖検脳が貴重であり、まずマウスでの発現検討を優先させる必要があった.Mincle分子そのものの発現が病理組織では確認しづらく、染色法や抗体のclone検討にかなりの時間を要した.マウスでも同様で、染色条件の最適化に時間を要した.ヒト末梢血における検討は、まず末梢血単核細胞を分離し、多重染色によるサブセット解析を行う必要があるが、その実験系から確立する必要があった.フローサイトメトリーを利用して幅広く免疫細胞を分析できる系は確立されたが、その実施に時間を要した.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、マウスにおいてその発現パターンをより詳細に検討し,受動的実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)を用いた機能的な検討を予定している.ミエリンオリゴデンドロサイト糖蛋白(MOG)で免疫したMOG35-55ペプチド特異的TCRを有する2D2トランスジェニックマウス由来のMOG反応性CD4 T細胞を経静脈的に移入して受動的EAEを誘導し、Mincleの発現パターンの経時的変化をフローサイトメトリーと免疫組織化学染色により明らかにする.そして、野生型B6マウスとMincleノックアウトマウスに上記受動的EAEを行い、その病態への関わりを検討する.もし、Mincleノックアウトマウスで軽症化するようであれば、抗Mincle抗体を用いて野生型B6マウスの受動的EAEを軽症化できないかどうか検討する. ヒト組織においては、その症例数を増やして検討する.まずは発現細胞の詳細な分析を行い,その病態における役割を検討する.ヒト病理検査では、多発性硬化症や視神経脊髄炎以外の神経疾患でも確認する.末梢血単核細胞における発現は着手しはじめたところであるが、今後健常者・多発性硬化症および視神経脊髄炎患者においてMincleの発現パターンを解析する予定である.
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Causes of Carryover |
マウス、サイトカインなどの試薬を多数必要とするマウスin vivo実験に着手できていないため、繰越金が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2D2マウスを用いた受動的実験的自己免疫性脳脊髄炎の実験において、その繰越金を使用する予定である。
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Research Products
(4 results)