2015 Fiscal Year Research-status Report
てんかんにおける大域ネットワーク機能障害の病態解明とそれに基づいた治療法の開発
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15K19491
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
上原 平 九州大学, 大学病院, 助教 (30631585)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | てんかん / デフォルトモードネットワーク / MRスぺクロスコピー |
Outline of Annual Research Achievements |
健常者18名を対象に研究計画書の手法を用いて、MRスペクトロスコピー(MRS)でグルタミン酸・GABAを測定する脳部位の同定を試みた。安静時機能的MRIデータの独立成分分析を行い、デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)に相当する成分を同定した。どの成分をDMNと判定するかは主観に依存する部分が多く、DMNが2つの独立した成分に分離して同定される例が多いなど、問題点があることが判明した。そのため、新たに解剖学的ランドマークを用いてMRS測定部位を同定する手法を開発した。DMNの分布の個人差を考慮するため、公開されている多数例のデータベースを用い、健常人100名の安静時機能的MRIと構造MRIを組み合わせて解析した。その結果、左頭頂後頭溝の下1/3の頭頂葉側の脳回がほとんどの場合DMNに属していることが判明した。今後、同部位を含む領域を測定部位としてMRSの撮影を行っていくことにした。 本研究の評価項目であるDMNの興奮系/抑制系バランスに影響を与え得る因子として、てんかん発作のDMNへの波及の程度が考えられた。このため、難治性てんかんに対する外科的治療の術前検査目的で慢性硬膜下電極留置を行った患者を対象に発作波の伝播様式とDMNの関連性を精査した。その結果、DMNの一部にてんかん焦点がある場合は、DMN特異的に発作波が伝播する例があることが明らかになった。そこで、DMNの一部にてんかん焦点を有する患者は他の局在関連性てんかん患者と分けて組み入れし、解析を行うことにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
MRI研究について、研究計画書で想定していた解析手法に問題点が見つかり、新たな解析手法を解析する必要が生じたため。また、基礎的解析の結果、患者の組み入れ基準についても見直しの必要があった。
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Strategy for Future Research Activity |
MRI研究は、局在関連性てんかん患者30名、健常コントロール30名を目標に随時、機能的MRI、構造MRI、MRSの撮像、解析を行っていく。MRSの測定部位については本年度に開発した手法を用いて同定する。てんかんモデルラットは、連携協力者提供より提供を受け、現在電気生理学的解析手法の予備解析を行っている。
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Causes of Carryover |
データ収集が遅延しているため解析用のソフトウェア、データ保存のためのハードディスク、動物実験に関わる物品の購入を次年度以後に行うことにしたために生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度以後に平成27年度に購入予定であった上記設備備品、消耗品の購入を行う。
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