2015 Fiscal Year Research-status Report
ES細胞由来ミエロイド細胞 (ES-ML)を用いた神経自己免疫疾患の細胞治療
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15K19493
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
池田 徳典 熊本大学, 臨床研究支援センター, 特任助教 (00613530)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ES細胞由来ミエロイド細胞 / 細胞治療療法 / 自己免疫疾患 / 自己免疫疾患モデルマウス / EAE |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は全身的な免疫抑制状態に陥らせることなく、免疫抑制を誘導する手法の開発に取り組んでおり、その手法としてES, iPS細胞から樹状細胞 (ES-, iPS-DC)を分化誘導し利用する方法を開発している。ES-DCを複数の自己免疫疾患マウスモデルに投与したところ、発症抑制や治療効果、ES-DCのTh1細胞に対する抑制効果を確認した。その一方、一度の分化誘導で得られる細胞数には限界があることや、Th1細胞以外の細胞に与える影響も少なかった。 そのため今回、大量培養可能なES細胞由来ミエロイド細胞 (ES-ML)を利用した自己免疫疾患モデルの治療について検討を行った。 ES-MLの自己免疫疾患モデルマウスに対する治療効果の確認として、臨床症状を発症した実験的自己免疫性脳脊髄炎 (EAE)に対して、ES-MLの投与を行った。具体的には、Myelin Oligodendrocyte Glycoprotein (MOG)とComplete Freund's adjuvant (CFA)によりC57BL/6マウスにEAEを誘導後、尾部の麻痺が認められた誘導10日後から3.0×106/匹のES-MLを5日間連続で腹腔投与し、その後の臨床症状の確認を行った。その結果、ES-ML投与群はコントロールとしてPBSを投与したES-ML非投与群と比較し、臨床症状の改善が認められなかった。そのため、ES-MLの連続投与日数を7日、10日間連続に変更し臨床症状の改善の有無を確認したものの、これらの群でも治療効果を確認できなかった。さらにES-ML投与群と非投与群の脊髄浸潤細胞を確認したところ、両者に有意な差を認めなかった。以上のことから、通常のES-MLの場合、ES-DCとは異なり、ES-ML自体に免疫抑制効果は認められない可能性が高いことが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、通常のES細胞由来ミエロイド細胞 (ES-ML)でもES-DCと同様に、細胞自体に免疫抑制作用を有すると考えていたが、実験結果からはそのような可能性が否定された。この結果は予想外であったものの、ES-ML細胞自身が免疫抑制、あるいは制御効果を有さないことを確証するための検討については、実験計画書の予定通りに行い検証を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
ES-MLの免疫抑制あるいは免疫制御機能を高めるため、免疫抑制分子の遺伝子導入を行った遺伝子改変ES-MLでの、EAEの臨床症状の改善効果について検証を行う。また、遺伝子改変ES-MLを用いて、遺伝子改変ES-MLを投与したEAEマウスに対して、Th1, Th17, Treg細胞を中心としたT細胞分画の解析、生体内での挙動の確認等を行っていく。
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Causes of Carryover |
ES-MLそのものに、免疫抑制・制御効果がないという知見が得られたため、in vitroでの実験をわずかではあるが行う必要性がなくなったため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ES-MLそのものに免疫抑制・制御効果がないという知見が得られたため、今後は免疫抑制効果、あるいは制御効果を有する遺伝子改変ES-MLを使用した実験が主体となる。この抑制機構の解明に使用する。
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