2016 Fiscal Year Annual Research Report
Detection of target to treat patients with CADASIL with existent medicine
Project/Area Number |
15K19494
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
植田 明彦 熊本大学, 医学部附属病院, 助教 (30613525)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 薬物治療 / GOM / 酵素組織化学染色 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、CADASILに特徴的な病理所見であるGranular osmiophilic material (GOM)を酵素組織化学染色法により検出する方法を開発した。これまでの病理学的解析は電子顕微鏡での形態学的研究や抗体を用いた免疫染色による局在解析のみであったが、本酵素組織化学染色法により、GOMの化学的性質を解析することが可能になった。本染色法を活用して、GOMの酵素活性を阻害する薬剤を容易に探索することができ、既存薬剤からGOMの酵素活性を標的とした候補薬剤を選出した。選出された候補薬剤をCADASILのモデル動物に投与して、生体内での本候補薬剤の効果を評価した。 我々が使用しているCADASILのモデルマウスはマウスのNotch3遺伝子にヒトのCADASIL患者の遺伝子変異に相当する変異を組み込み、変異型のNotch3が生理的に発現するモデルである。生後5ヵ月からGOMの蓄積が見られ、月齢とともにGOMの蓄積量が増加する。脳でのGOMの蓄積がみられるが、尾動脈にGOMの蓄積が見られ、生検によるGOMの評価および薬剤の治療効果判定が可能であることを明らかにした。このように組織化学染色法の開発とモデル動物による生体内での薬剤有効性の評価方法の確立により、根治的な治療法開発にむけた研究開発を実施することができ、今後の成果が期待される。 CADASILの遺伝子変異による分子機構や変異部位の翻訳後修飾に関しては、今後の更なる解析が必要であるものの、CADASILでの病原性蛋白蓄積物と考えられているGOMの酵素学的性質を解析でき、今後のCADASILの病態解析に活用可能である。これまで明らかにされてきたGOMに共存する蛋白質の役割やGOMの病原性、周囲組織への影響を解析するうえで、重要な情報を提供すると考えられる。
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Research Products
(4 results)