2015 Fiscal Year Research-status Report
レム睡眠行動障害合併型ナルコレプシーの実態調査と転帰を含めた病態解明
Project/Area Number |
15K19499
|
Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
咲間 妙子 (笹井妙子) 東京医科大学, 医学部, 講師 (70419026)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | ナルコレプシー / レム睡眠行動障害 / 周期性四肢運動 / REM sleep without atonia |
Outline of Annual Research Achievements |
日本人ナルコレプシー患者の大規模調査を施行し、彼らにおける夜間のレム睡眠行動障害症状の出現、筋脱力を伴わないレム睡眠量、および、レム睡眠・ノンレム睡眠中の周期性四肢運動障害などの睡眠時随伴症と睡眠関連運動障害を後方視的に詳細に調査した。未治療・未服薬の158例のカタプレキシーを伴うナルコレプシー患者、295例のカタプレキシーを伴わないナルコレプシー患者、および395名の特発性過眠症患者を対象とし、初診時に取得した終夜ビデオポリグラフ検査所見を評価し、群間比較を行ったところ、カタプレキシーを伴うナルコレプシー患者においては15回/時以上の睡眠中の周期性四肢運動を認める者が10.2%、終夜ビデオポリグラフ検査で診断可能なレム睡眠行動障害を呈する者が1.9%と、他の二群に比して有意に出現率が高かった。また、周期性四肢運動指数および筋脱力を伴わないレム睡眠量もカタプレキシーを伴うナルコレプシー患者において最も高かった。本大規模調査により、本邦におけるナルコレプシー患者ではカタプレキシーを伴う場合に睡眠時随伴症と睡眠関連運動障害の出現率が高くなることが明らかになったが、既報の欧米でのそれと比して低かった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予備調査開始時点より調査対象を広げ、ナルコレプシー患者における大規模調査を施行し、臨床・検査データを集積することで、当初の一年目の計画通りナルコレプシーにおける各種睡眠時随伴症・睡眠関連運動障害の合併率を明らかにすることが出来た。現在、ナルコレプシー患者においてレム睡眠行動障害に関するアンケートを施行し、終夜ポリグラフ検査所見のみならず症状聴取によってより確かな合併率の算出を試みている。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在、ナルコレプシー患者の初診時にレム睡眠行動障害関連検査(嗅覚検査・認知機能検査・錯視誘発検査等)を施行し、ナルコレプシーとレム睡眠行動障害との類似性、および、レム睡眠行動障害合併型ナルコレプシーと非合併型ナルコレプシーとの同検査所見の相違を明らかにすることを目指している。現時点では対象患者数が少ないが、今後、積極的な研究エントリーによってレム睡眠行動障害合併型ナルコレプシーと非合併型ナルコレプシー、および特発性レム睡眠行動障害患者間での同検査所見の相違を明らかにすることを目指している。また、最も例数を集積しにくいレム睡眠行動障害合併型ナルコレプシーは中高齢以上の者が多くなることが予想されるため、通院・服薬中の患者でも薬剤を抜くことによって同検査データを取得することも視野に入れている。
|
Causes of Carryover |
レム睡眠行動障害合併型ナルコレプシーの症例が乏しく、予定していた検者・被験者謝金の支出がなかったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度では、追加調査にかかる費用および同患者エントリーの追加により、検者・被験者謝金として使用することを予定している。
|
Research Products
(6 results)