2016 Fiscal Year Research-status Report
レム睡眠行動障害合併型ナルコレプシーの実態調査と転帰を含めた病態解明
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15K19499
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
咲間 妙子 (笹井妙子) 東京医科大学, 医学部, 講師 (70419026)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ナルコレプシー / レム睡眠行動障害 / パレイドリア / 幻視 / 錯視 / レビー小体型認知症 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本人ナルコレプシー患者の大規模調査に続き、同患者内でレム睡眠行動障害の症状を持つ者を随時抽出し、嗅覚機能検査、認知機能検査、錯視誘発検査を施行している。本データは例数が不足しているため未だ未発表であるが、同時にレム睡眠行動障害患者に錯視誘発検査を施行し、健常人に比して高い錯視出現率を認め(53.5% vs. 21.7%)、その数も多い(1.2±1.8枚 vs. 0.4±0.8枚)ことを明らかにした。さらに、同患者内で錯視症状を呈した者は、そうでない者に比して、筋活動を伴わないレム睡眠の出現量が有意に高く、また、認知機能は有意に低かった。さらに、重回帰分析を施行したところ、レム睡眠行動障害患者内での認知機能低下には、加齢の他にパレイドリアテストにおける錯視出現枚数が有意に関連することが明らかになった。本結果から、レム睡眠行動障害においてはレビー小体型認知症の中核症状である幻視症状と類似した錯視症状が多く認められ、その錯視症状を呈する者はよりレビー小体型認知症に近しい病態ステージであることが示唆された。レム睡眠行動障害における錯視症状の意義が明らかになり、現在集積中であるナルコレプシー例でのレム睡眠行動障害の疾患特性解明研究に貢献するものとおもわれる。なお、本結果は、国際学会シンポジウム(Asian Sleep Society Meeting)発表および国際誌SLEEPへの掲載により、成果報告を行った。ナルコレプシー患者については、レム睡眠行動障害患者との夢内容の比較に向け、夢内容の聴取を行うと同時に、夢見体験に関連する生理所見についてのデータの解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
睡眠障害国際分類第三版に基づいて診断されるナルコレプシータイプ1患者の受診が非常に少なく、その中でレム睡眠行動障害所見を呈する者の割合が非常に少なくなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
ナルコレプシータイプ1のみならず、タイプ2まで含めて錯視誘発検査と認知機能検査を施行する予定である。レム睡眠行動障害の出現率は低くなるが、ナルコレプシーの症状強度によってレム睡眠行動障害関連検査の所見が異なるか、レビー小体病への発展マーカー水準が異なるかについても検討を加える予定である。
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Causes of Carryover |
ナルコレプシー患者数が少なく、研究リクルートが遅れているため謝金発生額が予想を下回った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は、ナルコレプシータイプ2も含めて患者リクルート数を増やし、脳波解析アルバイトへの謝金支出も行う予定である。
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Research Products
(7 results)