2016 Fiscal Year Research-status Report
新規mGluR1リガンドITMMの脊髄小脳変性症における診断薬としての有用性
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15K19503
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital and Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
石橋 賢士 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (50469962)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 代謝型グルタミン酸受容体1型 / PET / 脊髄小脳変性 |
Outline of Annual Research Achievements |
代謝型グルタミン酸受容体1型(mGluR1)のヒト生体での定量測定が、新規mGluR1リガンドであるITMMを用いたPET検査により可能となった。mGluR1は小脳皮質に集中して分布する。そして、小脳におけるmGluR1はプルキンエ細胞の樹状突起に存在し、プルキンエ細胞の活動性を制御する。動物実験からmGluR1の発現量は小脳性失調の程度に深く関与していることが明らかとなった。これらの事実は、ITMMの集積がプルキンエ細胞の密度と分布を反映すること、ITMM-PET検査は小脳の機能マーカーに成り得ること、を示している。 小脳失調症は、運動失調を中心とした小脳疾患の総称であり、遺伝性、孤発性(原因不明)とアルコール依存やビタミン欠乏などの原因が特定された後天性に大別できる。分子生物学的背景および病理学的背景は、脊髄小脳変性症の各々の型により、また各々の型の病期において、大きく異なり得る。すなわち、小脳におけるmGluR1の発現量は、脊髄小脳変性症の各々の型と病期により、異なる可能性がある。 平成27-28年度は遺伝性脊髄小脳変性症と孤発性脊髄小脳変性症の患者様を対象に、ITMM-PET検査、FDG-PET検査、MRI検査、失調の定量測定、を行った。その結果、(1)mGluR1の発現量と失調の程度は相関を示すこと、(2)小脳異常を検出する検査として、ITMM-PET検査はMRI検査よりも感度が高いこと、が示された。特に、小脳前葉のmGluR1の発現量の低下が失調症状の発症に重要であることが示された。これらの成果は英文誌に報告されている(J Neurol. 2016 263:2179-2187.)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2016年度末までに、延べ17名の脊髄小脳変性症の患者様に対して、ITMM-PET検査、FDG-PET検査、MRI検査、失調の定量測定、を行った。また、2016年度末までに、疾患コントロール群として、延べ13名の小脳疾患以外の患者様に対して、ITMM-PET検査を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
2017年度も脊髄小脳変性症の臨床診断を受けた新規の患者様を対象として、ITMM-PET検査、FDG-PET検査、MRI検査、失調の定量測定、を行う。また、経時的変化の評価として、約1-2年程度の間隔を空けて、2回目のITMM-PET検査、FDG-PET検査、MRI検査、失調の定量測定、も開始する。
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Causes of Carryover |
物品費と謝金が予定額より低額となったことが主な原因。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は、複数の国際学会等で成果発表を行う予定であり、旅費が増加する可能性がある。その増加分に使用する予定。
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Research Products
(2 results)