2015 Fiscal Year Research-status Report
視床下部Sirt1とドパミンシグナルによる脂質嗜好性制御機構の解明
Project/Area Number |
15K19504
|
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
松居 翔 群馬大学, 生体調節研究所, 研究員 (80739673)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | Sirt1 / Dopamine / Fat preference |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、我が国では食生活の欧米化から脂質を摂取する割合が増加している。その結果、生活習慣病や心疾患、脳血管疾患の罹患者が増加の一途をたどっている。この要因の一つに、高脂肪食に対する嗜好性が深く関与することが考えられる。すなわち、脂質に対する嗜好性の制御機構を解明することが、これら問題の解決策になりうる可能性がある。 長寿遺伝子Sirt1は、NAD+依存性の脱アセチル化酵素で、細胞内のエネルギーセンサーとして機能する。視床下部Sirt1は、摂食抑制とエネルギー消費亢進を誘導し、生体内のエネルギーバランスを維持する。他方、エネルギーセンサー分子と嗜好性のかかわりについての報告はほとんどない。そこで本研究では、脂質嗜好性の基礎的なメカニズムの解明の一端として、Sirt1による脂質嗜好性制御メカニズムの解明を行う。 本年度は、神経特異的Sirt1ノックアウトマウスの脂質に対する摂食行動解析と、食嗜好性に関わる因子の遺伝子発現量を測定した。神経特異的Sirt1ノックアウトマウスは、コントロールマウスに比べて高脂肪食摂取量が増加傾向を示した。また、神経特異的Sirt1ノックアウトマウスの視床下部では、tyrosine hydroxylase (Th) の遺伝子発現量がコントロールマウスに比べて有意な増加を示した。さらに、視床下部不死化細胞を用いてSirt1によるTh遺伝子発現調節機構を検討したところ、Sirt1はThの転写を抑制することが明らかとなった。これらの結果から、中枢性のSirt1は、視床下部ドパミンシステムを介して脂質嗜好性を制御する可能性が考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通りに実験が進み、データが得られているため。
|
Strategy for Future Research Activity |
Sirt1によるTh遺伝子発現制御機構の解明と、視床下部ドパミンシステムと脂質嗜好性の関係を明らかにする。
|