2015 Fiscal Year Research-status Report
ヒト膵臓組織を用いた糖尿病発症機序の解明に関する研究
Project/Area Number |
15K19507
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
坊内 良太郎 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助教 (60596328)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 糖尿病 |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年3月末現在、約100例の症例登録が完了した。膵臓手術の術式別の耐糖能の推移も術前、術後、6か月後まで多くの症例で追跡が実施できている。膵頭十二指腸切除術(PD)18例、膵体尾部切除術(DP)17例において中間解析を実施した。 PD例はDP例より高齢、男性の割合が高く、膵切除の原疾患として癌の割合が高い傾向を示した。ベースラインの糖・脂質代謝や肝・腎機能などには有意差は認めなかった。膵臓手術の術後の内因性インスリン分泌やインクレチン分泌の変化に術式別で大きな違いがあることを見出した。すなわち、術前、術後、術後6か月において75g経口ブドウ糖負荷試験を実施したところ、術後・術後6か月に耐糖能が悪化した症例の割合はPD群で有意に低かった。PD例においては、術後6か月で内因性インスリン分泌の回復が見られる症例が一定数認められた。また、75g経口ブドウ糖負荷試験における活性型GLP-1レベルはPD、DPいずれも術後に上昇を認めたが、PD群においてその上昇はより顕著であった。膵臓手術症例の内分泌予後の継時的変化を詳細に追跡した研究は現在までになく、非常に貴重なデータが蓄積しつつあると考えられる。 さらに、膵組織学的解析も実施した。ブドウ糖負荷試験における正常型、境界型、糖尿病型の3群におけるβ細胞面積、β/α細胞面積比等に大きな違いがあることを明らかにした。今後、どのような膵組織所見が耐糖能変化の予測因子になりうるかを追跡調査する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
症例登録が約100例と順調に推移しており、また膵内分泌機能の追跡評価の体制も確立し、順調に内分泌予後の追跡を実施できている。
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Strategy for Future Research Activity |
膵内分泌機能の推移と膵組織所見の関連についての組織学的解析を実施する予定である。 術式別の腸管インクレチン分泌反応の違いにどのような病態が関連するかについて、種々の臨床的指標を用いて解析を実施する予定である。
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Research Products
(1 results)
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[Presentation] 膵切除術式別にみた耐糖能の推移の詳細な検討2016
Author(s)
竹内 崇人, 坊内 良太郎, 大原 徳彦, 中野 雄二郎, 村上 正憲, 浅川 雅博, 笹原 由梨子, 南 勲, 橋本 貢士, 泉山 肇, 吉本 貴宣, 光法 雄介, 工藤 篤, 田邉 稔, 小川 佳宏
Organizer
第59回日本糖尿病学会年次学術集会
Place of Presentation
国立京都国際会館 イベントホール(京都)
Year and Date
2016-05-20 – 2016-05-20