2016 Fiscal Year Annual Research Report
The role of a-ketoglutarate dehydrogenase on insulin secretion
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15K19512
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小倉 雅仁 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (00547812)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | αKGDHのインスリン分泌に及ぼす影響 |
Outline of Annual Research Achievements |
膵β細胞におけるグルコースによるインスリン分泌に必要なATPの合成にクエン酸回路は重要な代謝酵素である。 αーケトグルタル酸脱水素酵素はクエン酸回路内の酵素の一つであり、アルツハイマー病の神経細胞では酸化ストレスによって活性が低下していると報告されている。しかし、膵β細胞内での生理的なインスリン分泌におけるαーケトグルタル酸脱水素酵素の意義や、2型糖尿病の病態での酸化ストレスを介したインスリン分泌障害におけるαーケトグルタル酸脱水素酵素の寄与は明らかではない。 応募者はまずαーケトグルタル酸脱水素酵素の特異的阻害剤であるα-ketoーβ-methylーnーvaleric acid(以下、KMV)を用いて検討を行った。マウス膵島をKMVで処理してインスリン分泌を評価しところ、クエン酸回路の酵素であるαーケトグルタル酸脱水素酵素を抑制するのでインスリン分泌は抑制されると仮定していたが、逆にインスリン分泌は亢進した。次にマウス膵β細胞株においてKMVを用いて同様の検討を行ったが、同様にインスリン分泌は亢進した。KMVの非特異的な作用を除外するために、マウス膵β細胞株においてαーケトグルタル酸脱水素酵素をsiRNAにてノックダウンして同様の検討を行ったが、やはりインスリン分泌は亢進していた。 結果が興味深く、CRISPR/Casシステムを用いての膵β細胞株を用いた安定細胞株の樹立を試み、細胞株樹立には至らなかったが、αーケトグルタル酸脱水素酵素によって発生する酸化ストレスは細胞に保護的にも障害的にも与える可能性や、その各々の作用が細胞によって異なる可能性も示唆された。
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