2015 Fiscal Year Research-status Report
玄米有効成分を活用した脳内報酬系による食嗜好制御に関わるエピゲノム機構の解明
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15K19520
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
小塚 智沙代 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (70722370)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 食嗜好 / 肥満症 / 分子栄養学 / γ-オリザノール / 高脂肪食 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は玄米成分γ-オリザノールの作用について、下記3点を主に検証した。 1. 受容体の探索と受容体を介さない作用機序の解明 HEK293細胞を用いたルシフェラーゼアッセイにより、核内受容体やGタンパク質共役型受容体(GPCR)を対象にγ-オリザノールがアゴニストあるいはアンタゴニストとして働く可能性のある受容体を網羅的に探索した。その結果、ゲノム修飾に関わる酵素の発現を調節する核内受容体へ作用する可能性が示唆された。 2. ドーパミン系構成遺伝子のエピゲノム修飾への効果 高脂肪食に対する依存形成に重要な役割を担う線条体、恒常性維持機構の一つとして摂食調節を司る視床下部の2つの部位におけるドーパミン系構成遺伝子のエピゲノム修飾を次世代シークエンサーを用いたバイサルファアイトシークエンシングにより検証した。その結果、視床下部においては高脂肪食、γ-オリザノールいずれの介入においてもメチル化状態に変化を認めなかったが、線条体においては高脂肪食の摂取により増加したメチル化がγ-オリザノールの摂取により改善されることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
γ-オリザノールが核内受容体への作用を介してゲノム修飾を変化させる可能性、線条体におけるドーパミン系構成遺伝子の発現調節を介して食嗜好を変化させる可能性について、英文論文を準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
臨床応用に向けてγ-オリザノールをナノ粒子化することによる体内動態の変化と効力の違いについて、肥満・糖尿病モデル動物を用いて検討する。吸収効率が改善することで通常のγ-オリザノールでは認めなかった効果、毒性を認める可能性も考えられることから、従来の標的臓器である脳や膵臓だけでなく、全身の表現型変化に注目して解析を進める。
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