2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K19527
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
小宮 幸次 順天堂大学, 医学部, 助教 (50385077)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 糖尿病 / オートファジー / バイオマーカー / Rubicon / 膵β細胞障害 / プロテアソームアルファサブユニット6 |
Outline of Annual Research Achievements |
糖尿病発症過程においてオートファジー不全が膵β細胞障害をもたらす事を報告しており、本研究では①生体内においてオートファジーをモニタリングするマーカーの同定と②オートファジー調節因子であるRubiconが膵β細胞機能に与える影響を明らかとするため研究を行った。 ①テトラサイクリン誘導性オートファジー不全膵β細胞株およびsiRNAによるオートファジー不全膵β細胞株を用いてオートファジー不全膵β細胞株の培養液中に増加する分子の同定を2次元電気泳動・蛋白質量解析による同定を行った。その結果、オートファジー不全細胞株培養液中においてProteasome α-subunit 6(PMSA6)の上昇が認められた。今後、PMSA6がオートファジー不全モデル動物においても検出可能であるかの検討を行う予定である。現在までに生体内におけるオートファジー活性を評価するマーカーはなく、PMSA6がそのマーカーとしてvivoにおいても応用可能であれば糖尿病発症過程におけるオートファジーモニタリングが可能となり、新たな病態解明につながるものと期待される。 ②Rubiconはその機能抑制によりオートファジーを促進することが知られているため、siRNAを用いて膵β細胞株のRubiconを抑制しオートファジーの評価を行ったが、定常培養における膵β細胞株においてオートファジーの促進は認められなかった。定常培養においてオートファジー不全のマーカー分子であるp62の蓄積が軽度であったため、オートファジー促進作用を見るためには定常培養は不向きであると考えられた。今後、膵β細胞株においてオートファジー不全状態を誘導したうえで、Rubiconが与える影響を評価する必要があると考えられた。現状においては膵β細胞においけるRubiconの作用は不明瞭であるが、検討の集積により①の成果と合わせて糖尿病の新たな治療戦略樹立を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
①バイオマーカーの同定に関してPMSA6を候補分子として見出すことができたが、再現性やオートファジー不全特異的な上昇であるかどうかの検討が十分に行えているとは言えない。またモデル動物での検討の前にPMSA6以外の候補分子をいくつか挙げる必要があると考えられる。 ②当初、通常培養条件下にRubiconによるオートファジー促進作用が見いだせなかった場合にはオートファジー不全誘導条件下においてRubiconの作用を明らかにする予定であった。膵β細胞株における適切なRubicon抑制条件を見出すのに時間を要したため当初の予定よりも遅れているが、十分にRubiconを抑制できる条件が樹立されたため今後の検討を引き続き進めていくことが可能と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
①我々は既に膵β細胞特異的オートファジー不全マウスを樹立しており、本年度の検討において見出されたPMSA6の血中濃度の際に関してコントロールマウスとの比較を行う。また肝臓や中枢神経などといった膵β細胞以外の臓器におけるオートファジー不全マウスより血液を採取し、PMSA6の臓器特異性に関しても評価を行う。並行してPMSA6以外の候補分子の選定、それらの分子のオートファジー不全との特異性に関しての評価を行っていく。 ②ヒト2型糖尿病において様々因子より膵β細胞障害がもたらされるが、vitroにおいてその環境を再現するのは極めて困難である。膵β細胞障害をもたらすとされる因子によりオートファジー不全を誘導し、Rubiconによりオートファジー不全状態の改善が認められるかの検討を行うとともに、vivoの検討を合わせて行う。すなわちRubiconノックアウトマウスの通常飼育下、高脂肪飼育下における耐糖能を評価するとともに膵β細胞障害の評価・メカニズムの解析も併せて行う予定である。
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