2016 Fiscal Year Research-status Report
種々の神経内分泌腫瘍の統合的な理解に向けたがん抑制遺伝子PHLDA3の機能解析
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15K19537
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
山口 陽子 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, リサーチレジデント (40738639)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 神経内分泌腫瘍 / PHLDA3 |
Outline of Annual Research Achievements |
神経内分泌腫瘍(NET)は肺や内分泌器官、消化管などに生じる。我々はPHLDA3がAkt機能を抑制し、肺と膵臓のNETにおいてがん抑制遺伝子として機能することを明らかにした。これらのNETではPHLDA3が高頻度なヘテロ接合性の消失(LOH)を呈し、PHLDA3のLOHをもつ膵NETは予後不良であることがわかっている(Cell, 2009、PNAS, 2014)。また我々はPHLDA3欠損マウスにおいて、内分泌器官の異常を観察している。 本研究ではヒトNETにおけるPHLDA3遺伝子異常の解析とPHLDA3欠損マウスに生じる異常の分析を行い、種々のNETの発症機構の解明を目指す。 (1)ヒト消化管NET検体におけるPHLDA3 遺伝子異常の探索:PHLDA3欠損マウスでは膵島の過形成と下垂体NETが観察されていることから、PHLDA3が全身に発生するヒトNETの重要ながん抑制遺伝子であることが推察される。そのため、これまでに調べた肺、膵臓に加え、ヒトNETの半数を占める消化管NET検体においてPHLDA3のLOHが起きていないかを調べる。平成28年度は検体の収集およびLOH解析を行った。 (2)PHLDA3欠損マウスに生じる異常の分析: PHLDA3欠損マウスでは膵島の過形成と下垂体NETが観察されている。一方でヒトNETは膵臓以外にも下垂体、肺、上皮小体、副腎、甲状腺、消化管、胸腺など、全身に発生する。平成28年度は、PHLDA3欠損マウスにおいて一部の器官に異常を観察した。 (3)種々のNETには共通の発症機構が存在するのではないかと考え、PHLDA3を起点として培養細胞を使用した分子機構の解析を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒトNET検体の収集および解析が順調に進んでいるため。また、マウスの観察についても研究に資する所見を得たため。
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Strategy for Future Research Activity |
複数のヒトNETにおいてPHLDA3が重要ながん抑制遺伝子であるという証拠が得られたこと、PHLDA3欠損マウスが複数のNETを発症したことから、種々のNETには共通の発症機構が存在するのではないかと考え、PHLDA3を起点として培養細胞を使用した分子機構の解析を開始する。
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Causes of Carryover |
当初計画していたより物品を安く購入でき、旅費もかからなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
解析を目的に、主に物品費、旅費、人件費に使用する。
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