2015 Fiscal Year Research-status Report
赤芽球におけるヘム合成調節機構の解明と鉄芽球性貧血モデル細胞の樹立
Project/Area Number |
15K19539
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
金子 桐子 岩手医科大学, 医学部, 講師 (10545784)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ALAS2 / ヘム合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヘモグロビン合成に必須酵素の一つである赤芽球特異的アミノレブリン酸合成酵素(ALAS2)は、第1イントロンにエンハンサー領域(以下、当該領域)を有する。この当該領域に生じた変異は遺伝性鉄芽球性貧血の原因の一つであり、ALAS2の発現に重要な機能を持つと考えられるが、その調節機構は未解明である。よって本研究は鉄芽球性貧血モデル細胞樹立による当該領域の発現調節機構の解明および遺伝性鉄芽球性貧血の治療法開発の基盤構築を目的とする。 本年度は、すでに作製した赤芽球細胞であるK562細胞の当該領域に変異を導入した細胞(以下、モデル細胞)を用いて 1. 鉄芽球性貧血モデル細胞の有用性の検討 2. モデル細胞の遺伝子発現解析 を行った。 1. 鉄芽球性貧血モデル細胞の有用性の検討:(1) モデル細胞のALAS2 mRNA発現量、ヘモグロビン合成能および細胞内ヘム量はいずれも鉄芽球性貧血と同様に低下した。また、ALAS2の生成物である5-アミノレブリン酸の添加により、ヘモグロビン合成が野生型とほぼ同等に回復することを確認した。(2) モデル細胞の特徴が当該領域に導入した変異が原因であることを確かめるため、モデル細胞の当該領域に野生型配列の導入を行った。現在、得られたクローンについて解析中である。(3) 鉄芽球性貧血の診断基準の一つである環状鉄芽球の出現条件について、鉄剤、赤芽球分化誘導剤、ヘム合成阻害剤を用いて検討を行った。さらに詳細な条件について検討中である。 2. モデル細胞の遺伝子発現解析:野生型K562細胞とモデル細胞についてDNAマイクロアレイを用いて網羅的に解析を行った結果、ヘム合成系に関与する可能性がある因子を複数見出した。リアルタイムPCR法により各因子のmRNA発現を確認中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
鉄芽球性貧血モデル細胞の検討は当初の予定より実験が進展し、次年度の実験予定をすでに開始している。一方、質量分析およびプロモーター解析の開始が予定より遅れているが、前述の進捗状況とヘム合成系に関与する因子候補を見出した結果を鑑みると、研究目的の遂行に向けて概ね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
鉄芽球性貧血モデル細胞については、すでに開始している次年度の実験予定を引き続き、また当該領域の転写制御や機能解析についてもそれぞれ計画通りに行う。加えて、DNAアレイにて見出した因子がヘム合成系に関与する可能性についての検討を行う。
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Research Products
(1 results)