2015 Fiscal Year Research-status Report
造血システムにおけるPcgfファミリー分子の機能差異
Project/Area Number |
15K19544
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
中島 やえ子 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 日本学術振興会特別研究員RPD (50749497)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ポリコーム / Non-canonical PRC1 / 造血幹細胞分化 / Pcgf1 / Pcgf3 / Pcgf4/Bmi1 / Pcgf5 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、造血細胞においてこれまで精力的に解析されてきたBmi1/Pcgf4 とそのファミリー分子であるPcgf1、Pcgf3、Pcgf5 がどのような機能差異をもち、その機能差異がどのように協調しながら造血幹細胞の自己複製機構、多分化能を規定する機構を制御しているのか明らかにすることを目的としている。今年度はPcgf1、Pcgf3、Bmi1/Pcgf4、Pcgf5 遺伝子の成体造血特異的コンディショナルノックアウトマウスの表現型を解析、比較することで造血幹細胞機能におけるPcgf ファミリー分子の役割を明らかにした。まず、Pcgf1コンディショナルノックアウトマウスは造血幹細胞の分化が骨髄球系に強く偏ることから、Pcgf1は造血幹細胞の分化決定において骨髄球系分化の抑制因子として機能していることが示唆された。Pcgf3、Pcgf5のコンディショナルノックアウトマウスは造血分化に関しては目立った異常は示さなかった。一方で、Bmi1/Pcgf4のコンディショナルノックアウトマウスはこれまでの報告と同様に造血幹細胞機能不全のため、造血能全体が徐々に低下していった。赤白血病の細胞株であるMELに3xFlagタグつきの各Pcgfタンパク質を過剰発現させた細胞株を樹立し、Flag抗体を用いたCHIP-sequenceを行ったところ、Pcgf3とPcgf5の標的遺伝子はほぼPcgf1の標的遺伝子に含まれることが明らかとなった。つまり、Pcgf3とPcgf5のノックアウトマウスではPcgf1がその機能を代償するため表現型が出ないと考えられた。しかしながら、Pcgf1の表現型はBmi1/Pcgf4の過剰発現ではレスキューされないことが明らかとなり、Pcgf1とBmi1/Pcgf4は明確な機能差異があることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、Pcgfファミリー分子の各コンディショナルノックアウトマウスの解析を一通り行うことができた。さらにPcgf5コンディショナルノックアウトマウスに関してはグローバルな遺伝子発現解析(RNA-sequence)、エピゲノム解析(H2AK119ub1抗体またはH3K27me3抗体を用いたChIP-sequence)を行なった。驚いたことに、Pcgf5欠損造血細胞ではH2AK119ub1レベルは著しく低下していたものの、遺伝子発現にはあまり変化が見られなかった。この結果はPcgf5コンディショナルノックアウトマウスで造血分化に異常が見られなかったことと違わない結果と考えられた。さらにこれらの結果を論文にまとめることができた(現在、論文査読中)。
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Strategy for Future Research Activity |
造血分化に異常を示したPcgf1とBmi1/Pcgf4のコンディショナルノックアウトマウスの造血幹細胞、前駆細胞を用いた遺伝子発現解析、エピゲノム解析を行う。その結果を比較し、それぞれの機能の相違を生み出す分子基盤を明らかにする。
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[Journal Article] Non-Lethal Ionizing Radiation Promotes Aging-Like Phenotypic Changes of Human Hematopoietic Stem and Progenitor Cells in Humanized Mice.2015
Author(s)
Wang C, Oshima M, Sashida G, Tomioka T, Hasegawa N, Mochizuki-Kashio M, Nakajima-Takagi Y, Kusunoki Y, Kyoizumi S, Imai K, Nakachi K, Iwama A.
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Journal Title
PLoS One
Volume: 10
Pages: e0132041
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Presentation] Role of the polycomb gene Bcor in hematopoiesis2015
Author(s)
Tomoyuki Tanaka, Yaeko Nakajima-Takagi, Motohiko Oshima, Atsunori Saraya, Shiro Tara, Sha Si, Hirohito Sone, Haruhiko Koseki, Atsushi Iwama
Organizer
The 44th Annual Meeting of International Society for Experimental Hematology
Place of Presentation
国立京都国際会館(京都府, 京都市)
Year and Date
2015-09-17 – 2015-09-19
Int'l Joint Research