2016 Fiscal Year Research-status Report
造血器腫瘍におけるKAP1チロシンリン酸化の機能解析
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15K19545
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
久保田 翔 熊本大学, 国際先端医学研究機構, 特定事業研究員 (70747831)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | CML / 血液学 / 白血病 / 造血幹細胞 / チロシンリン酸化 / KAP1 |
Outline of Annual Research Achievements |
KAP1(TIF1beta/TRIM28)のチロシンリン酸化による慢性骨髄性白血病(CML)への影響を調べるため、CMLのセルラインであるK562細胞の内在性のKAP1をまずノックダウンした後に、KAP1を発現させるウィルスをインフェクションした。そして、セルソーターを用いて細胞を分取し、野生型のKAP1(KAP1-wt)、リン酸化されない変異体 (KAP1-3YF)をそれぞれ発現させたセルラインを樹立した。KAP1のチロシンリン酸化依存的な複合体の解析を行なうため、タンパク質同士をクロスリンクによって固定した後に、免疫沈降によって複合体を精製し、質量解析によって解析を行ない、結合タンパク質を複数同定することができた。また、KAP1cKOマウス(CD45.2)からソーティングによって造血幹細胞を分取した後に、control vector、KAP1-wtおよびKAP1-3YFを強制発現させるウィルスベクターをインフェクションした後、致死量放射線照射したレシピエントマウス(CD45.1)に競合移植を行なった。想定通り、KAP1のcKOによってCD45.2のキメリズムが顕著に減少したことからKAP1は造血幹細胞の維持・増殖などに影響していることが示された。また、KAP1-wtのウィルスベクターを用いたレスキュー発現によってその減少をキャンセルすることが出来ているため、レスキュー実験は成功している。このKAP1-wtとKAP1-3YFとの変化を現在解析しており、造血幹細胞の増殖の変化や血液のどの分化段階において障害が生じるのかについて解析を行なう。さらに、ROSA-LSL-BCR-ABLノックインマウスとKAP1cKOマウスとを掛け合わせて、実験に必要なマウスの作製に成功した。現在これらのマウスの造血幹細胞を集めて、移植する実験が進行している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
KAP1の造血幹細胞における機能解析については、既に移植が終わっているため順調に解析が進んでいる。今後は2次移植なども行ないKAP1の造血幹細胞におけるチロシンリン酸化を介した機能変化について詳細な解析を行なっていく。骨髄細胞のサンプリングも行なうことで、RNA-seqによる解析なども視野に入れて研究を進めていく。BCR-ABLトランスジェニックマウスについては、正常造血機能の解析と同様に移植の準備を始めており、計画通りに実験を進捗する事ができている。
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Strategy for Future Research Activity |
既にBCR-ABLのノックインマウスではtamoxifenの誘導によってCMLを発症することが確認できているため、KAP1をコンディショナルにノックアウトすることによって起こる病気の発症への影響を詳細に調べる。また、KAP1のチロシンリン酸化変異体を導入した解析によって、KAP1のチロシンリン酸化によるCML発症への影響を詳細に調べる。また、CMLを発症した際には骨髄の白血病幹細胞をセルソーターを用いて集め、RNA-seqによるトランクリプトーム解析やKAP1のChIP-seq解析によって、詳細な分子メカニズムの解明を行なっていく。
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Research Products
(1 results)