2016 Fiscal Year Research-status Report
Study on erythrocytes from human adipose-derived mesenchymal stem cells in a unique culture system
Project/Area Number |
15K19564
|
Research Institution | Kanagawa Academy of Science and Technology |
Principal Investigator |
宇留賀 友佳子 公益財団法人神奈川科学技術アカデミー, 戦略的研究シーズ育成事業, 研究員 (70464831)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | ヒト脂肪幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではヒト脂肪幹細胞を用いた血球細胞への分化誘導技術および特性解析技術を用いてヒト脂肪幹細胞からの赤血球創製技術の確立を行い,これらの基礎的評価および医療応用への有用性を検討することを目的とする。 昨年度はヒト脂肪幹細胞の遺伝子発現解析および表面抗原解析を行い, 赤血球分化を中心とした血球分化関連転写因子を中心にリアルタイムPCR法を用いて検討した。予想された通り,マウス間葉系細胞株OP9で得られた結果と同様, ヒト脂肪幹細胞においても赤血球分化に重要な数種類の転写因子は発現しないというデータが得られた。表面抗原解析においてはCD90やCD105といった間葉系幹細胞に特徴的な表面抗原を有していた。 本年度はこれらの結果を受け, 昨年度検討した発現ウィルスベクターのヒト脂肪幹細胞への遺伝子導入の際の至適条件を元に, 赤血球分化関連遺伝子の導入を行い, その血球分化能につき検討を行った。 まずヒト脂肪幹細胞に発現の見られない1種類の赤血球系分化関連遺伝子を導入し, それぞれの分化培地を用いて各種血球への分化誘導を試みた。血球分化については特有の細胞表面抗原の発現にて評価をした。その結果, 当該遺伝子の導入のみでは赤血球への分化は認められなかった。そのため, 遺伝子導入後の血球分化過程における各種血球分化関連遺伝子の発現の経時変化について検討したところ, 巨核球/赤血球系前駆細胞への分化を示唆する変化は認めたが, 本来赤血球系への分化の際に起こる巨核球系分化を方向付ける遺伝子群の抑制及び赤血球分化関連遺伝子の発現上昇が認められなかった。この理由として, ヒト脂肪幹細胞は血球分化という観点においてマウス脂肪幹細胞と異なる特有の性質を有していることが原因と考えられた。 今後はヒト脂肪幹細胞の血球分化に着目し, その特徴的な性質と各種分化誘導機構の解明を目指す。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究計画である分化誘導後の細胞の遺伝子発現解析及び細胞表面抗原の発現解析を予定どおり行うことができ、当初の目標は概ね達成できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度の検討結果では, 本研究の事前検討で行ったマウス間葉系細胞株OP9から得られた結果と異なる知見が得られ, ヒト脂肪幹細胞はマウス細胞と異なりヒト細胞特有の性質を有していると考えられた。そのため, 今年度はこれらの性質を血球分化の観点から詳細に解析し解明を進めていく予定である。
|
Causes of Carryover |
本年度の検討結果では本研究の事前検討で行ったマウス細胞から得られた結果と異なる知見が得られたことから, 平成28年度以降行う予定だったいくつかの検討項目を変更することとなったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後の推進方策に基づく計画達成のために必要な試薬代に使用する予定である。
|