2015 Fiscal Year Research-status Report
DAA治療におけるC型肝炎ウイルス動態の解析と最適化治療の検討
Project/Area Number |
15K19586
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小川 栄一 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70621283)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | C型肝炎ウイルス / Real-time PCR法 / インターフェロン / プロテアーゼ阻害剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
C型肝炎治療は直接作用型抗ウイルス剤(Direct antiviral agent:DAA)の導入により格段に治療成果が向上したが、画一的な治療であるため、症例に応じた治療戦略が必要である。その判断材料の一つとして、治療中のウイルス動態が大きなカギを握る。本研究ではDAAを用いた抗ウイルス療法において、異なるHCV RNA量測定方法を用いたウイルス動態を解析し、今後多様化するC型肝炎治療の最適化を目指した方法を検討するのが主目的である。 HCV RNA量測定はReal-time PCR法が一般的に用いられ、特にTaqMan法による測定がスタンダードであるが、我々は、より測定感度の高いAccuGene法による測定も有用であることを報告している(Ogawa E, et al. Antiviral Res 2013)。この結果を踏まえ、2015年度ではテラプレビル(第一世代プロテアーゼ阻害剤)およびシメプレビル(第二世代プロテアーゼ阻害剤)併用ペグインターフェロン・リバビリン療法(治療期間 24週)を実施した171例において、これら2法のReal-time PCR法を用いた解析を行った。主な結果として、①治療早期のウイルス陰性化(治療4週目 TaqMan法 73.7%、AccuGene法 41.5%)に有意な差が認められ、TaqMan法で陰性化を認めても、15.4%はAccuGene法でHCV RNAが検出された。②最終的な治療効果(持続的ウイルス陰性化)予測として、治療4週目のHCV RNA陰性化は、非難治例(IL28B TTまたは前治療再燃例)ではTaqMan法が有用であったが、難治例(IL28B TG/GGまたは前治療無効例)ではAccuGene法が有用であった。治療効果を予測する上で、症例に応じた測定法を選択することが重要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
テラプレビル(第一世代プロテアーゼ阻害剤)およびシメプレビル(第二世代プロテアーゼ阻害剤)併用ペグインターフェロン・リバビリン療法における、2法(TaqMan法およびAccuGene法)によるウイルス動態と治療効果予測の有用性を検討し、学会および論文報告を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの実績は、インターフェロンを用いた抗ウイルス療法によるviral kineticsを検討したものであるが、2014年9月に日本初のインターフェロンフリー療法であるダクラタスビル・アスナプレビル併用療法、2015年5月にGenotype 2型に対するソホスブビル・リバビリン療法そして同年8月にソホスブビル・レジパスビル療法が保険認可された。今後は、これらインターフェロンフリー治療におけるウイルス動態をTaqMan法およびAccuGene法で比較し、治療効果への影響を検討する予定である。
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