2015 Fiscal Year Research-status Report
劇症型A群レンサ球菌感染症における新たな病原因子制御メカニズムの解明
Project/Area Number |
15K19589
|
Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
吉田 春乃 北里大学, 感染制御科学府, 助手 (70563386)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 劇症型レンサ球菌感染症 / GAS / 比較ゲノム / 臨床分離株 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、A群レンサ球菌(GAS)における病原因子制御因子と考えられるRocAに着目し、rocA遺伝子に変異を持つ臨床分離株を用いて役割の解析を試みる。平成27年度の研究計画は以下の通りである。(1)rocA遺伝子の変異を持っているMTB313株へ完全長rocA遺伝子を組み込んだプラスミドを導入した相補株を作製する (2)ゲノム構造がMTB313株と極めて類似しているもののrocA遺伝子の変異はなく、毒性も弱いMTB314株のrocA遺伝子をノックアウトした欠損株を作製する (3)二種の臨床分離株及び作製した組換えGASを用いて、それぞれの毒性を生化学的方法で解析する 。 (1)MTB313株へのrocA遺伝子発現プラスミドの導入は完了している。(2)については、MTB314のrocA遺伝子周辺配列を用いて相同組換えにより、抗生物質耐性遺伝子との置換を試みているが、現在のところ組換え体を得るには至っていない。現在、方法を改変するなどして検討中である。(3)は(1)のrocA相補株については一部が終了した。rocA相補株とそのコントロール株では、GASの病原性に深く関わる分泌型毒素の発現量などに違いが見られている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年度に実施予定であった、臨床分離株の遺伝子組換え体作製に関して遅れが発生している。rocA遺伝子の相補株は得られたものの、完全長rocA遺伝子の騒動組換えによる欠失体が未だ得られていない。 具体的にはrocA遺伝子近傍の配列とカナマイシン耐性遺伝子を含む、組換え遺伝子の構築には成功している。また、組換えに供するMTB314への、プラスミドの導入も確認できている。しかしGAS内部でゲノムの目的位置への挿入には至っていない。 現在、λ-Red recombinaseを用いた相同組換えを試みている。
|
Strategy for Future Research Activity |
(1)遺伝子組換えGAS作製及び病原性の評価;未だ得られていないrocA欠損株の作製を急ぐとともに、完成次第病原性の評価をrocA遺伝子相補株と同様の手法で行う。 (2)レンサ球菌mRNA抽出法の確立とrocA発現様式解析;平成27年度までに得られた臨床分離株及び遺伝子相補株について、凍結破砕によるmRNA抽出条件を検討する。そこで得られたインタクトに近いRNAを用い、病原性に関わる遺伝子の発現をリアルタイムPCRにより解析する。また翌年度に予定されているマイクロアレイ解析のためのプローブデザイン等、準備に着手する。 (3)同時に感染実験を行い、rocA組換えGASが生体へ及ぼす病原性について検討する。
|
Causes of Carryover |
概ね計画通りに消耗品を購入したが、研究の一部に遅延が生じており本来シークエンス解析等に使用する分が未使用であるため、次年度使用額が発生した。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
遅延した実験を次年度に持ち越すため、使用用途は変わらず本来の目的のため使用する予定である。
|