2017 Fiscal Year Research-status Report
マウスモデルを用いた難治性C. difficile腸炎の治療戦略の検討
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15K19593
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
山口 哲央 東邦大学, 医学部, 助教 (10408239)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | CDI / プロバイオティクス / 腸内細菌叢 / 次世代シーケンサー |
Outline of Annual Research Achievements |
抗菌薬関連腸炎の中でもClostridium difficile腸炎(CDI)は代表的な疾患であるが、近年、強毒型C. difficileが欧米を中心に問題となっており、その病態解析と適切な治療指針が求められている。今回我々は、臨床病態に近いCDIマウスモデルを確立し、その解析を行うことでCDIの「発症機序の解明」および「最も適切な治療方針の検討」を行う。さらに臨床上問題となっている、難治性CDIや再発性CDIをマウスモデルで再現し、プロバイオティクスによる発症予防効果やCDI治療薬による再発予防効果を検討することで「CDIの新たな治療戦略の方向性」を提案することが目的である。 まず、CDIマウスモデルにおいて除菌抗菌薬の検討を行った。効率よくCDIを発症させる除菌抗菌薬の種類と組み合わせを明らかにし、次にCD投与前後に除菌抗菌薬を投与することでCDI発症の程度に差があるかを評価することが目的であったが、再発モデルの作成は困難であった。そこで、腸内細菌叢の撹乱が少ないC57BL/6マウスモデルを用いて、次世代シークエンサーを用いた16S rRNA遺伝子解析により、除菌抗菌薬投与前後、CDI発症前後、抗CD薬投与前後の腸内細菌叢の変化を確認した。抗菌薬投与により腸内細菌叢は大きく変化し、CDI発症時、バンコマイシン治療時、フィダキソマイシン治療時、プロバイオティクス治療時の腸内細菌叢もそれぞれ異なることが明らかになっている。腸内細菌叢の撹乱がCDI再発のリスクになるため、CDI発症時および抗CD薬投与時の腸内細菌叢の変化を明らかにすることは重要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
BALB/cマウスに除菌抗菌薬として6つの抗菌薬を投与しCDを感染させるモデルとC57BL/6マウスにクリンダマイシン(CLDM)を投与後にCDを感染させるモデルが多く報告されている。これらのマウスモデルを用いて腸炎の評価を行い、プロバイオティクスや抗CD薬による効果を観察している。C57BL/6マウスにおいては、CD保菌後に抗菌薬を投与することによりCDIを発症させ、再発モデルの作成を試みたが、再発モデルの作成は困難であった。腸内細菌叢の撹乱がCDI再発のリスクになるため、CLDMのみの前処置でCDIを発症するC57BL/6マウスモデルを用いて、CLDM投与前後、CD投与前後、抗CD薬投与前後、プロバイオティクス投与前後の腸内細菌叢の変化を観察した。抗菌薬投与により腸内細菌叢は大きく変化し、CDI発症時、バンコマイシン治療時、フィダキソマイシン治療時、プロバイオティクス治療時の腸内細菌叢もそれぞれ異なることが明らかになっている。腸内細菌叢の撹乱を最小限に抑え、再発を予防する治療法を検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
CDIマウスモデルおよび次世代シークエンサーを用いた16S rRNA遺伝子解析により、CDI発症時、バンコマイシン治療時、フィダキソマイシン治療時の腸内細菌叢が異なることが明らかになってきている。プロバイオティクス投与による影響も検討に加え、現在論文投稿準備中である。
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Causes of Carryover |
CDIマウスモデルにおいて、様々な抗CDI治療薬やプロバイオティクスを投与した際の腸内細菌叢の変化を観察しているが、検討群が多く、薬剤の条件設定も検討が必要であることから、次世代シーケンサーを用いた腸内細菌16Sr RNA解析に時間がかかっている。再現性の実験を含め、さらなる時間を要するため。
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