2015 Fiscal Year Research-status Report
先天性大脳白質形成不全症の新規発症機序:ミトコンドリアへの低分子RNA輸送障害
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15K19597
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菊池 敦生 東北大学, 大学病院, 助教 (30447156)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 小児神経学 / ミトコンドリア / 低分子RNA |
Outline of Annual Research Achievements |
先天性大脳白質形成不全症は中枢神経系の髄鞘形成不全を呈する疾患群だがその遺伝学的背景は多様であり、いまだ確立された治療法はない。近年網羅的ゲノム解析により同定された原因遺伝子には低分子RNAに関わる遺伝子群が含まれていた。申請者らはエクソーム解析により先天性大脳白質形成不全症の家系例からミトコンドリアへ低分子RNAを輸送するタンパクをコードする新規候補遺伝子を同定した。本研究では、この遺伝子を遺伝学的、機能的に原因遺伝子として証明することを試みる。 今年度は血縁関係のないもう一人の変異保有患者の発見のため、国内の大脳白質形成不全研究者の協力が得られた。1つの拠点ではエクソーム解析済みのデータと照合して、もう一つの拠点ではDNA検体から、本遺伝子の変異の有無を検索したが、いずれも候補変異は同定されなかった。 次に動物モデルとして、CRISPR/Cas9を用いた遺伝子改変マウスの作成を分子血液学分野の支援により行っている。ノックアウトマウスの作成に成功したが、既報の通り胎生致死であった。そのため、その死亡時期・死因の特定を試みている。同時に患児のミスセンス変異をもつマウスの作成を目指して試行を継続している。 最後に培養細胞によるミトコンドリアでの低分子RNA輸送障害の解析を行っている。ラジオアイソトープによるRNA輸送解析の実験系を立ち上げることに成功した。患児の培養細胞と、コントロールとの比較を行う予定としている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
他の先天性大脳白質形成不全症症例の検索については、国内の研究者の協力を得て本候補遺伝子の検索を行えた。遺伝子改変マウスについては患者のミスセンス変異を有するマウスはまだ作成できていないが、ノックアウトマウスについては作成して解析中になっている。また、ミトコンドリアでの低分子RNA輸送の解析についてはその実験系を作成できた。
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Strategy for Future Research Activity |
他の先天性大脳白質形成不全症症例の検索については国内の研究者を通じて継続するほか、Matchmaker Exchangeなどの国際的なマッチングサービスの利用も検討する。遺伝子改変マウスについては患者のミスセンス変異を有するマウスの作成を継続するほか、すでに作成済みのノックアウトマウスの初期胚の解析を試みる。また、ミトコンドリアでの低分子RNA輸送の解析については確立した実験系により患者とコントロール間の比較を行う。
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Causes of Carryover |
実験試薬の効率的使用に努めた結果、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
引き続き消耗品・試薬の使用は効率的になるよう心がけるが、必要に応じて実験の信頼度を高めるために試行回数や条件検討を増やす。次年度使用額は翌年度分と合わせて上記の目的に用いる計画である。
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Research Products
(1 results)