2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K19598
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
井上 晋一 東北大学, 医学系研究科, 助教 (70622091)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | CFC症候群 / RASopathies / BRAF / 先天性心疾患 / マウスモデル / 骨格形成異常 / 成長障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
Cadio-facio-cutaneous (CFC)症候群は心疾患、特異的顔貌、皮膚疾患、精神発達遅滞を呈する先天性奇形症候群である。本研究では当研究室で作製したCFC症候群の原因遺伝子であるBRAFに変異をもつBraf Q241Rノックインマウスを用いてCFC症候群の心疾患・骨格形成異常発生メカニズムの解析を行った。その結果、近交系であるBALB/c系統のBraf Q241Rノックインマウスでは心肥大、心房中隔欠損症、成長障害、肝壊死を示し新生仔期にほとんどのマウスが死亡することを見出した。そこで次に非近交系であるICR/CD1系統のBraf Q241Rノックインマウスを用いて解析したところ、BALB/c系統同様に成長障害を示すものの約40%のマウスが離乳後(4週目)も生存可能であった。心疾患・骨格形成異常を呈するかどうか詳細に解析したところBraf Q241Rノックインマウスは心疾患として心肥大(体重あたりの心重量増加)、心房中隔欠損症、肺動脈弁狭窄症、心筋ミトコンドリア異常が認められた。興味深いことにこれら種々の心疾患を認めるも心筋繊維化、心筋細胞肥大は認められず心機能(コントロールと比べて左室内径短縮率、左室駆出率に変化なし)は維持されていた。骨格形成異常としては大頭、脊柱後弯症、多指などを呈することを見出した。またその他の表現型としてBraf Q241Rノックインマウスにおいて恐怖関連付けテストにおける学習障害、卵巣嚢胞、精巣肥大、脾腫が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究目的はBraf Q241R変異をもつノックインマウスを用いて心疾患・骨格形成異常発生のメカニズムを明らかにすることである。本年度は近交系であるBALB/c系統、非近交系であるICR系統のBraf Q241Rノックインマウスを用いてその表現型を調べた。CFC症候群患者は心疾患として肺動脈弁狭窄、心房中隔欠損症、心室中隔欠損症、肥大型心筋症を示し、また骨格形成異常として大頭などの顔貌異常、脊柱後弯症を示す。Braf Q241Rノックインマウスはこれらの心疾患・骨格形成異常を呈するため非常に有用なCFC症候群モデル動物となりうることがわかった。本年度の成果は予定していた実験計画をすべて網羅するものであり、次年度はこれらのマウスを用いてその原因となるメカニズムを解析することが可能である。よって進歩状況はおおむね順調に進んでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画どおり、Braf Q241Rノックインマウスの心疾患・骨格形成異常がどのような細胞系譜に由来するものか調べるためWnt1-Cre、Tie2-Cre、a-MHC-Creトランスジェニックマウスとかけわせてその表現型の解析を行う。またBraf Q241Rノックインマウス心臓においてRAS/MAPK経路を中心とするシグナルに変化があるかどうか解析を行っていく予定である。
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Research Products
(3 results)