2015 Fiscal Year Research-status Report
マイクロアレイによる網羅的解析を用いた白血病細胞の薬剤感受性の解明
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15K19609
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
坂口 公祥 浜松医科大学, 医学部附属病院, 助教 (00402280)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 薬剤反応性 / がん / 遺伝子 / マイクロアレイ |
Outline of Annual Research Achievements |
白血病細胞株(NALM-6,BALL-1,CCRF-CEM,Jurkat)を脱メチル化薬であるデシタビンとともに培養し、培養後に白血病細胞株からmRNA およびDNA を抽出した。 マイクロアレイを用いた網羅的解析によりデシタビンを添加して培養した細胞でのみメチル化が解除され、かつ遺伝子発現量が増加した遺伝子を抽出した。 結果としては当初予測していたような4つの白血病細胞株全てにおいて共通する遺伝子は存在しなかった。 しかし、CTTN遺伝子がいくつかの細胞株において共通する遺伝子として抽出された。 この遺伝子は乳がんや扁平上皮癌などでは発現量の変化が認められることが知られているため、エピジェネティックな変化によって白血病細胞の薬剤感受性に変化をもたらす候補遺伝子の一つと考えられる。 今回の成果は国内もしくは国外の学会において平成28年度に発表を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年度には白血病細胞株(NALM-6,BALL-1,Jurkat)を脱メチル化薬であるデシタビンとともに培養し、培養後に白血病細胞株からmRNA およびDNA を抽出した。その後 マイクロアレイを用いた網羅的解析によりデシタビンを添加して培養した細胞でのみメチル化が解除され、かつ遺伝子発現量が増加した遺伝子を測定することができた。白血病細胞株CCRF-CEMに関しては以前に実施した研究のデータを利用した。 これらの研究の進捗状況は予定通りである。 しかし、1つ1つの細胞株においてはメチル化の解除と遺伝子発現量の増加が共通して認められる遺伝子が存在しても、4つの細胞株に共通するものは存在しなかった。 この点は研究開始時点では予想していなかったことであり、研究計画の再考が必要となった。 このため、全体としては「やや遅れている」という評価となる。
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Strategy for Future Research Activity |
1つ1つの細胞株においてはメチル化の解除と遺伝子発現量の増加が共通して認められる遺伝子が存在しても、4つの細胞株に共通するものは存在しなかった。 この点は研究開始時点では予想していなかったことであり、研究計画の再考が必要となったが、CTTN遺伝子がいくつかの細胞株において共通する遺伝子として抽出されたため、CTTN遺伝子を核として細胞株毎の特性の違いなどを検討することと、1つ1つの細胞株毎でメチル化の解除と遺伝子発現量の増加が共通して認められる遺伝子を検討することで、薬剤感受性に変化をもたらす遺伝子の特定を進めていきたい。 さらに予定通り① 候補遺伝子の発現量がデシタビン処理により増加していること、② 候補遺伝子のプロモーター領域の脱メチル化割合がデシタビン処理により低下していること、を①はRQ-PCR法によって、②はbisulfite sequence法によってそれぞれ確認をしたい。
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Causes of Carryover |
外部委託したマイクロアレイ測定に関してはほぼ予定通り実施できた。 しかし、旅費に関しては予定よりも若干低額であったことや、消耗品の購入額が若干低額であった。 これらの結果、平成27年度の未使用額は15,986円であり、これを平成27年度中に使用するよりは平成27年度の研究で明らかとなった問題点を解決するためにも平成28年度分と合わせて必要な研究を実施する方が望ましいと考えた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度の解析で4つの細胞株に共通する候補遺伝子が存在しないことが予測されたため、いくつかの細胞株で共通する候補遺伝子の解析を進めていくが、同時に細胞株毎の特性の違いも解析すべきと考えられた。このため、デシタビンの併用効果などを再度確認することや、候補遺伝子の発現やメチル化状態の解析などに用いていきたいと考えている。
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