2016 Fiscal Year Research-status Report
胆汁酸産生制御機構におけるSPRY2/LXRの役割に関する検討
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15K19611
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
長谷川 泰浩 大阪大学, 医学系研究科, 特任助教(常勤) (10730369)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | SPRY2 / FGF19 / 小児胆汁うっ滞性疾患 / 胆道閉鎖症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は当院倫理委員会の承認を受け、小児慢性胆汁うっ滞性疾患において最も多数を占める胆道閉鎖症患者および、胆汁うっ滞のない対照群として肝血管腫、OTC欠損症患者、肝芽腫患者の血清および肝組織を用い、慢性胆汁うっ滞の状況下での胆汁酸代謝機構の解析を行っている。 28年度までに胆汁うっ滞の状況下では本来胆汁酸産生制御において中心的な役割を果たすfibroblast growth factor(FGF)19が、生理的に発現する小腸上皮だけではなく、肝細胞からもmRNAレベルで発現することを定量PCR法、in situ hybridization法で見出した。さらに血清中および肝組織中のFGF19は対照肝と比べて、有意に高値であった。FGF19は肝細胞膜上にあるFGF receptor(FGFR)4を活性化させた後に、ERK経路を活性化させ、胆汁酸合成の律速酵素であるCYP7A1を抑制し、胆汁酸合成を負に制御するが、われわれは胆道閉鎖症の肝臓ではFGFR4の下流にあるERK経路が、肝細胞でのSPRY2発現により阻害されていることをウエスタンブロット法および免疫染色法で共に確認した。その結果としてCYP7A1 mRNAの発現量低下を定量PCR法で確認し、胆汁酸産生が適切に制御できないことを見出した。以上の知見と合わせて、28年度は肝細胞においてHNF4aの発現上昇を定量PCR法で確認し、上に記したFGF19を中心とする胆汁酸制御機構とHNF4aを含むFXR/SHPを中心とする経路との相互作用の存在の可能性を示した。上記知見を再論文化し、27年度に引き続き投稿しているが、まだpublishには至っていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ヒト検体で得られた知見を投稿し、査読に基づき修正を行っているが、未だ論文化できていない。そのため、28年度は論理構成の大幅な修正およびfigureを再作成し、投稿した。 それと並行して、SPRY2の発現がどういった因子やシグナルによって誘導されるのかを確かめることを目的に、HepG2細胞を胆汁酸およびFGF19蛋白で処理し、胆道閉鎖症などの小児慢性胆汁うっ滞性疾患と同様の蛋白発現量プロファイルが得られる至適条件を検索中であるが、生体と同様のプロファイルの傾向を再現することに難渋している。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、ヒト検体で得られた知見を論文化することを第一の目標とする。 また予定の遅れを挽回するために、生体と同じ傾向のプロファイルを完全に再現するのではなく、別の環境におけるFXR/FGF19/CYP7A1のプロファイルを検討し、SPRY2/LXR/HNF4aおよびFXR/SHP経路との相互作用を検討する。
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Causes of Carryover |
細胞条件の指摘条件の確定および、他の環境条件を作成することに遅れており、siRNAを用いたノックダウン実験および、ノックアウトマウスを用いたマウス実験にかかる費用を使用していない。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
細胞実験およびsiRNAを用いたノックダウン実験に用いる。
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