2015 Fiscal Year Research-status Report
小児骨系統疾患の病態解明を目指した疾患特異的ヒトiPS細胞の骨分化誘導法の確立
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15K19612
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤原 誠 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (50625697)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 疾患iPS細胞由来骨芽細胞 / 骨形成不全症 / 骨芽細胞 / 骨細胞 / コラーゲン過修飾 / コラーゲン蓄積 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度に、以下の成果を得た。 ①骨形成不全症患者6症例から皮膚線維芽細胞を採取し(以下疾患線維芽細胞)、うち5症例でセンダイウイルスベクターを用いてiPS細胞を樹立した(以下疾患iPS細胞)。さらに、健常又は疾患iPS細胞から神経堤細胞に分化誘導し、表面マーカーであるCD271/p75を用いてFACSにて選別し、さらにbFGFを培養液に加えることで間葉系幹細胞に分化させた。この時点で凍結保存を実施した。 ③健常又は疾患間葉系幹細胞を骨分化培養液にて6週間培養し、石灰化をAlizarin red染色にて確認した(これまで健常1例、疾患1例)。 ④健常又は疾患線維芽細胞の培養上清からコラーゲンを抽出し、電気泳動にて過修飾を受けた変異コラーゲンを確認する方法を確立した。また、健常又は疾患線維芽細胞のI型コラーゲンを免疫染色で染めて、変異コラーゲンが小胞体マーカーに局在・蓄積していることを確認する方法を確立した。 ④の成果は、今後疾患iPS由来の骨芽細胞の評価に用いる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度中に健常iPS細胞より神経堤細胞を経由して石灰化能を有する骨芽細胞を誘導し得たのは、予定通り、あるいはやや進んでいる経過であった。しかし、骨芽細胞のマーカー遺伝子までは未解析である事、また分化には時間を要しており誘導効率に改良の余地が大きい事については、予定を達成できていない。 平成28年度に行う予定であった、異常骨芽細胞のコラーゲンの過修飾を見る手法を確立しつつあり、この点は予定より早く進んでいる。 総合的に判断すると、現状は概ね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
疾患特異的iPS細胞由来の骨芽細胞の多角的機能解析(蛋白の発現や機能解析、コラーゲンの性質の解析など)について、更に手法を確立させていく。その後は、それらの手法を用いて健常と健常の比較を行い、病態を詳細に分析し、治療法に繋がる知見を求めていく。 現在は骨系統疾患として骨形成不全症について解析を進めているが、手法が確立した後は、X連鎖性低リン血症性くる病や低フォスファターゼ症についても同様に解析していく。
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Causes of Carryover |
残金として非常に少額であり、用途が存在しなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験に用いる物品の購入費の一部として使用する予定。
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