2016 Fiscal Year Research-status Report
Runx1を標的とした治療抵抗性小児AMLに対する新たな治療戦略
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15K19616
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
平出 智裕 島根大学, 医学部, 特別協力研究員 (40638540)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 急性骨髄性白血病 / 薬剤抵抗性 / FLT3/ITD |
Outline of Annual Research Achievements |
チロシンキナーゼ受容体FLT3遺伝子に生ずるFLT3/ITDは予後不良であり、治療抵抗性である。したがって、治療抵抗性となる分子機構を解明し、新たな治療戦略を考える必要がある。例えば、FLT3/ITD 抑制剤に対する治療抵抗性は克服すべき課題の一つであり、これが解決すれば治療効果の改善が期待できる。これまでに私たちは、FLT3/ITDが造血幹細胞の増殖分化を制御する転写因子であるRunx1発現を上昇し、FLT3/ITD 抑制剤AC220に対する抵抗性に関わることを報告した。したがって、Runx1の標的を行うことで、FLT3/ITD 抑制剤に対する薬剤耐性を克服可能と考えるが、Runx1は造血幹細胞にも発現し、その阻害は造血不全に至る為、実際には用い難く、新たな治療標的が必要と考える。新たな標的分子として考えられるのは、転写因子Runx1の下流に存在する分子群である。昨年は動物実験を行うことを計画したが、このようにRunx1を実際に治療標的にすることは困難が予想されるので、それよりも下流の分子、あるいはRunx1とは独立した分子、かつ正常造血幹細胞に影響の少ない分子を同定することに計画を若干修正して行っている。具体的には以下のように行いつつある。
これまでに、Runx1下流の分子群を同定する目的で、FLT3/ITD陽性細胞内でRunx1に対するshRNAをトランスフェクションすることでRunx1ノックダウン細胞を作製し、mRNAを抽出した。今後遺伝子発現をRNA-seqまたはマイクロアレイを用いて解析し、Runx1の標的と考えられる分子群を同定する。 一方で、Runx1とは独立した新たな治療標的を同定するために、ゲノム編集スクリーニング(CRISPR-Cas9システム)を用いてFLT3/ITD抑制剤に対する抵抗性をもたらす分子群を同定するために、FLT3/ITD陽性細胞にCas-9導入を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目標であるRunx1が薬剤抵抗性に関わることは証明できたので、更にその研究を発展させる段階である。動物実験を行うことを当初は計画したが、Runx1を実際に治療標的にすることは困難が予想されるので、それよりも下流の分子、あるいはRunx1とは独立した分子、かつ正常造血幹細胞に影響の少ない分子を同定することに計画を若干修正して行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
動物実験を行うことを当初は計画したが、Runx1を実際に治療標的にすることは困難が予想されるので、それよりも下流の分子、あるいはRunx1とは独立した分子、かつ正常造血幹細胞に影響の少ない分子を同定することに計画を若干修正して行う。
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Causes of Carryover |
本研究では、Runx1という転写因子を阻害することがFlt3/ITD陽性白血病細胞のFlt3/ITD阻害薬への治療耐性を克服する為に有用であることを示した。しかし、Runx1は正常造血幹細胞にも発現し、その阻害は造血不全に至る為、実際の患者には用い難い為、新たな治療標的を見出す、あるいは正常造血幹細胞でのRunx1が破壊されないような工夫が必要と考える。その為の追加実験を行う為の延長を申請したので、次年度使用の必要が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
昨年度は、下流の分子群を同定する目的で、FLT3/ITD陽性細胞内でRunx1に対するshRNAをトランスフェクションすることでRunx1ノックダウン細胞を作製し、mRNAを抽出したので、今後遺伝子発現をRNA-seqまたはマイクロアレイを用いて解析し、Runx1の標的と考えられる分子群を同定する。また、Runx1とは独立した新たな治療標的を同定するために、ゲノム編集スクリーニング(CRISPR-Cas9システム)を用いてFLT3/ITD抑制剤に対する抵抗性をもたらす分子群を同定する。 次年度は、これらの解析費用として使用予定である。
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Research Products
(3 results)