2015 Fiscal Year Research-status Report
iPS細胞を用いた自己炎症性疾患における血管炎・動脈硬化の機序解明
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15K19622
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山村 健一郎 九州大学, 大学病院, 助教 (30532858)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 自己炎症性疾患 / 動脈硬化 / iPS細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
CINCA症候群、家族性地中海熱、PAPA症候群の患者よりiPS細胞を樹立し、機能評価を行った。幼児期早期から動脈硬化の傾向が認められるCINCA症候群患児のiPS細胞を用い、血管内皮細胞への分化誘導を行った。この児はCINCA症候群の責任遺伝子であるNLRP3遺伝子の変異(G307S)を体細胞モザイクで有しており、変異のある細胞(MT)と変異のない細胞(WT)のiPS細胞を用いて実験した。iPS細胞を単層培養にて、血管内皮細胞へと分化誘導する系を確立した。誘導した細胞は、今後の実験に十分な細胞数を確保でき、またtube formationやLDLの取り込みなどの血管内皮機能を有していた。得られた細胞を、炎症性サイトカイン、LPSやATPなどでNLRP3 inflammasomeを刺激し、MTとWTとを比較した。VCAM-1, ICAM-1, E-selectin, P-selectinなどの白血球接着因子の明らかな差は認められなかった。現在刺激方法の検討や、サイトカイン測定などのさらなる研究を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
iPS細胞より血管内皮細胞への分化誘導系を確立した。当初の予定では胚様体形成を行い内皮細胞単離する予定であったが、効率が悪く十分な細胞数を確保できなかったため、単層培養による分化誘導を行った。分化誘導系を確立することにより、今後の実験(CINCA MT細胞とWT細胞の機能の違い)を進めることが可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
CINCA MT細胞とWT細胞における血管内皮細胞のサイトカイン産生能、単球などの免疫担当細胞とのinteractionを解析する。その結果を元に、治療薬の探索やマイクロアレイなど詳細な評価を行う予定である。
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Causes of Carryover |
細胞培養における培地、各種サイトカイン、試薬などの費用が想定よりやや安価ですんだため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
細胞培養における培地、各種サイトカイン、化合物、抗体、遺伝子定量試薬などの購入、成果の発表に使用する予定である。
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