2015 Fiscal Year Research-status Report
紫斑病性腎炎の発症病態解明:Tregを介した糖鎖不全IgA1産生機序と受容体解析
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15K19624
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
大原 信一郎 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (00566846)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 紫斑病性腎炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
本邦における小児期発症の紫斑病性腎炎に関する前方視的疫学調査は少ない。紫斑病性腎炎と同様にIgA腎症においても糖鎖不全IgA1の関与が示唆されており、それらの発症頻度や臨床像を把握することは極めて重要である。我々は 過去8年間に発症した紫斑病性腎炎に対する疫学的臨床的検討を行った。2006年から2013年の間、福島県内における15歳未満の小児が入院可能な施設で、紫斑病腎炎と診断された51症例について、臨床経過、組織型、治療法、予後に関して検討した。男女比は23:28で女性に多く、平均発症年齢は7.8歳であった。福島県小児15歳未満での発症率は平均2.27人/10万人/年であり、減少傾向は認めなかった。診断時における腎生検は、34例(66.7%)に行われており、ISKDC分類で2型が6例、3型は26例、5型及び6型はそれぞれ1例であった。ISKDC分類3型以上の紫斑病性腎炎では、全症例でステロイド薬が投与されていた。診断後1年以上経過観察し得た症例のうち4例で尿蛋白の残存を認め、追加治療として扁桃摘出術+ステロイドパルス療法を行った症例も1例あった。ISKDC2型および未腎生検例では、全例で尿所見は正常化した。紫斑病性腎炎の発症数については減少傾向は認めなかったが、近年の紫斑病性腎炎の組織学的重症度は軽症化している傾向にあった。発症頻度の関して疫学的には、小児IgA腎症と大きな差は認めないことが明らかとなった。以上に関して、学会口演発表を行った。(大原信一郎, 他.日本小児腎臓病学会雑誌 2015) 巣状分節性糸球体硬化症のネフローゼ症候群の患者において、WT1遺伝子変異を同定し、その臨床像と合併奇形に関して、学会口演発表、論文報告を行った。(大原信一郎, 他. 日本小児腎不全学会雑誌 2015) 先天性腎尿路奇形に合併する内性器異常の画像診断と早期診断の意義に関して、学会口演発表、論文報告を行った。(大原信一郎, 他. 日本小児腎臓病学会雑誌 2015)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ヒト紫斑病性腎炎における免疫染色、組織学的評価は予定通り進行中であるが、紫斑病性腎炎患者血清におけるヒンジ部糖鎖不全IgA1の同定、制御性T細胞の解析が十分に行えていない。
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Strategy for Future Research Activity |
紫斑病性腎炎患者の血清におけるヒンジ部糖鎖不全IgA1の同定および制御性T細胞の解析を試みる。培養ヒトメサンギウム細胞を用いて、プロスタグランジン、LPS、TNF-αなどの刺激因子を加えたのち、ヒンジ部糖鎖不全IgA1を加え、その結合度を評価する。ヒンジ部糖鎖不全IgA1の同定および制御性T細胞の解析が困難である場合は、腎疾患以外で硬化性病変の進行に関与していると思われる遺伝子・蛋白を選択し、ヒトの初回腎生検および再生検組織を用いて、組織学的検討、免疫染色を行う。マクロファージサブクラス染色やαSMA染色を行い、マクロファージ浸潤、α-SMA陽性細胞浸潤、アポトーシスとの関連性を検索する。
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Causes of Carryover |
ヒト紫斑病性腎炎における免疫染色、組織学的評価は予定通り進行中である。しかし、紫斑病性腎炎患者血清におけるヒンジ部糖鎖不全IgA1の同定、制御性T細胞の解析が十分に行えていない。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ヒト紫斑病性腎炎における免疫染色、組織学的評価は予定通り進行させる。紫斑病性腎炎患者血清におけるヒンジ部糖鎖不全IgA1の同定、制御性T細胞の解析を行うための研究物品を購入する予定である。
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Research Products
(10 results)