2016 Fiscal Year Research-status Report
プラダー・ウィリー症候群の行動異常の発症機序の解明と治療法の確立
Project/Area Number |
15K19630
|
Research Institution | National Center for Child Health and Development |
Principal Investigator |
綾部 匡之 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 生体防御系内科部, 研究員 (80566555)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | プラダー・ウィリ症候群 / 日中過眠 / オレキシン / 食行動異常 / 糖尿病 |
Outline of Annual Research Achievements |
プラダー・ウィリ症候群(PWS)では、日中過眠のためにQOLが低下する。その原因として視床下部のオレキシン機能低下が示唆される。12名のPWS患者を対象とした解析で髄液オレキシン濃度と日中過眠の重症度(エップワース眠気尺度の点数)に有意な相関があることを見出した。 またPWSでは高率に糖尿病を合併し、過食や強いこだわりと言った特有の心理行動症状のために治療に難渋することも多い。SGLT2阻害薬がPWSの糖尿病の血糖コントロールや食行動にどのような影響を及ぼすか、血糖コントロール不良の糖尿病を合併したPWS患者6名で2年間の長期的な観察を行った。SGLT2阻害薬開始後の半年間は全例、血糖コントロール、体重コントロールともに著明に改善した。低血糖の自覚やそれに伴った過食は認めなかった。しかし、長期的には全例で血糖コントロールの再増悪を認めた。全例で体重増加を認めたわけではなく、必ずしも過食などの食行動の増悪を伴っていなかった。PWS患者に対するSGLT2阻害薬の使用に際しては、「SGLT2阻害薬の副作用の多さ」「PWSのこだわりの強さなどの心理行動症状」をうまく組み合わせて利用する(PWS患者本人に対して説明し納得させる)ことで、短期的には食行動のコントロール、体重コントロール、血糖コントロールに有用であることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
日中過眠とオレキシンに関する論文については、現在アクセプト待ちである。 また当初はPWSの行動異常として「日中過眠」に注目していたが、引き続いて「過食などの食行動異常」にも注目した研究を進めている。
|
Strategy for Future Research Activity |
日中過眠とオレキシンに関する論文については引き続いて論文発表を目指す。 また「食行動異常」をともなった糖尿病合併PWS患者に対する治療法についての論文化をあわせて進めていく。
|
Causes of Carryover |
次年度に追加研究の論文投稿を行う、また海外学会等での成果発表を行う予定としたため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
英語論文投稿にかかる費用(英文校正費用・投稿費用)、また海外学会での成果発表にかかる費用とする。
|
Research Products
(3 results)