2015 Fiscal Year Research-status Report
タンデムマス・新生児マススクリーニングでのMenkes病スクリーニング法の構築
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15K19636
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
佐藤 恭弘 帝京大学, 医学部, 助手 (00750241)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | メンケス病 / カテコラミン分析 / ろ紙血 / タンデムマスシステム |
Outline of Annual Research Achievements |
Menkes病は銅輸送ATPase異常による先天性銅欠乏症で、重篤な神経障害を特徴とする予後不良な疾患である。治療はヒスチジン銅の皮下注射が行われるが、血液脳関門が未熟な新生児期に治療を開始出来た場合のみ神経障害を軽症化できる。早期治療開始を可能にすべく本症を新生児期に診断するための検査方法確立が本研究の目的である。 本症では、銅依存酵素であるドーパミンβヒドロキシダーゼ活性が低下し、ドパミン (DA)からノルアドレナリン (NE)への変換が障害され、DAの代謝産物であるdihydroxyphenylacetic acid (DOPAC)が増加、NEの代謝産物であるdihydroxyphenylglycol (DHPG)が減少する。これらカテコールアミン代謝産物の血中濃度とその比から新生児期に本症の診断が可能であることが報告されている。 新生児マススクリーニング(MS)では、生後早期にろ紙血を用いて、タンデムマスシステムで先天性代謝異常症のスクリーニングが行われている。我々は、ろ紙血検体で上述の4種類のカテコールアミンおよびカテコールアミン代謝産物を測定できるか検討した。 測定機器はタンデム質量分析計であるLCMS-8050(SHIMADZU)を用い、すでに血漿中カテコラミン定量分析で確立されている条件で、健常成人血液から作成したろ紙血より測定した。ろ紙血からの血液抽出には、新生児MSで用いられているメタノール7:アセトン7:水2の抽出溶媒を用いた。しかし、ろ紙血から抽出した上清では、いずれのカテコールアミン代謝産物も検出されなかった。そこで、ろ紙血にDA、DHPG、NE、DOPACを4段階の異なる濃度で添加して測定したが(①無添加、②上述の順に5、10、1.0、40(nmol/l)、③25、50、5、200(nmol/l)、④50、100、10、400(nmol/l))、検出することはできなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今のところ、ろ紙血からカテコールアミンおよびその代謝産物を検出することは出来ておらず、測定条件の検討が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在の新生児MSで使用されている抽出溶媒では検出できなかったため、今後は、カテコールアミンが酸性条件で安定性がよいことを考慮し、ギ酸を加えた溶媒で抽出し、検討を進める予定である。現在、0.1%ギ酸を含むメタノール・アセトン・水(7:7:2)、1%ギ酸を含むメタノール・アセトン・水(7:7:2)、0.1%ギ酸を含む精製水、1%ギ酸を含む精製水、の抽出溶媒での検討を準備中である。
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Causes of Carryover |
当初購入予定であった消耗品は在庫を使用して進めることができたため。 旅費、学会発表は今年度に使用予定のため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
学会発表と旅費10万円、消耗品50万円、人件費50万円、その他に使用予定
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