2015 Fiscal Year Research-status Report
ファブリー病末梢神経症状の発症にTRPチャネルは関与するか?
Project/Area Number |
15K19637
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
樋口 孝 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (30595327)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ファブリー病 / 末梢神経障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
ファブリー病末梢神経障害の発症メカニズムの解明を目指し、ファブリー病モデルマウスやファブリー病培養神経系細胞などを用いて行動学的・分子生物学的に解析した。 フォン・フレイ・フィラメント試験を用いてファブリー病モデルマウス右後足の圧痛を測定した。 6週齢のファブリー病モデルマウスにおいて既に末梢神経障害が出現しており、正常マウスよりも感覚鈍麻症状を示していた。 ファブリー病モデルマウスにヒトGLA遺伝子搭載アデノ随伴ウイルスベクターを尾静脈注射した後3週間飼育すると、後根神経節組織のGLA酵素活性は上昇したが脳のGLA酵素活性はほとんど上昇していなかった。 さらに感覚鈍麻症状の改善傾向がみられたが正常レベルまでは戻らなかった。 ファブリー病モデルマウスは6週齢より前に末梢神経障害が発症すると考えられた。 そして遺伝子治療により後根神経節のGLA酵素活性が回復してもその症状が治らなかったことから、神経細胞のダメージは非可逆的に生じていると考えられる。 末梢神経症状の回復は6週以前の治療開始が必要かもしれない。 現在は後根神経節細胞の病理組織学的を行っている。 培養シュワン細胞内のCa++挙動を観察する目的でシュワン細胞にCa++イメージング指示薬を共存させた。 正常シュワン細胞もファブリー病シュワン細胞も同レベルの蛍光を発していた。 今後培養ニューロンにおけるCa++イメージングを行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マウスから初代末梢神経細胞の単離技術は確立できている。しかし細胞内Ca++イメージング解析実験が停滞している。
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Strategy for Future Research Activity |
マウスが6週齢になる前に末梢神経症状の治療を開始する。 具体的には新生児マウスへの治療を検討する。 後根神経節のGLA酵素活性を上げるためのウイルスベクター投与経路の検討を行う。 具体的には髄液内注射を検討する。 神経細胞のCa++イメージング解析実験を進める。
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Causes of Carryover |
マウス初代培養神経細胞のCa++イメージング実験の進捗が遅れているために次年度使用金が出た。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
マウスの飼育とマウスの購入代金、神経細胞摘出用試薬と培養用の試薬代金、Ca++イメージング解析用代金として使用する。
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