2017 Fiscal Year Research-status Report
神経イオンチャネル障害から見たレット症候群の病態解明と治療薬の探索研究
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15K19642
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
貴田 浩志 久留米大学, 医学部, 助教 (80529454)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | Rett症候群 / MeCP2 / 誤嚥性肺炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はMecp2欠損ES細胞から誘導した神経細胞の解析を継続するとともに、Mecp2欠損モデルマウスの解析を中心に行なった。 Mecp2欠損マウスは、生後3-4週目までほぼ正常に成長する一方で、その後、体重増加が遅延し、7-8週頃から死亡する個体が出現し、10-12週目までに全て死亡する。これまでの報告によると、死亡原因は、不整脈や呼吸異常によると考えられてきたが、その詳細は不明であった。 モデルマウスを詳細に解析したところ、7-9週の死亡前に、極度に衰弱し、呼吸異常を認めること、病理学的な肺組織の観察で炎症性の傷害が認められることを見出した。また、偏光顕微鏡観察の結果、肺胞腔にforeign bodiesが認められ、炎症の本態が誤嚥性肺炎であることが明らかとなった。 誤嚥の発症機序を探索する目的で、橋、延髄の嚥下反射中枢領域の解析を行なった結果、野生型と比較してモデルマウスでは、種々の神経伝達物質およびその関連因子の発現に変化が認められることが明らかとなった。現在、脳幹領域を中心とした自律神経系の情報伝達にHCNsが関わる可能性を解析することで、in vivo脳組織におけるHCNsなどチャンネル分子の病態における役割を解析している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、本年度はES細胞から分化誘導した神経細胞の電気生理学的な膜特性解析をさらに重ねるとともに、免疫染色による形態学的解析法の確立を目標としていたが、実験の実施ができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
ES細胞から分化誘導した神経細胞の電気生理学的な膜特性解析をさらに重ねるとともに、免疫染色によるin vivoにおける形態学的解析法の確立により、HCNs 等チャンネル分子の病態における役割を明らかにする。
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Causes of Carryover |
形態学的な解析に用いるいくつかの抗体購入を予定していたが、実験の遂行に遅延が生じ、定量的な解析方法が完全に確立しておらず、今年度は購入を見送ったものがあるため。定量的解析法の確立後、それらの抗体を購入予定である。
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[Journal Article] Pathogenesis of Lethal Aspiration Pneumonia in Mecp2-null Mouse Model for Rett Syndrome2017
Author(s)
Hiroshi Kida,Tomoyuki Takahashi,Yuki Nakamura,Takashi Kinoshita, Munetsugu Hara, Masaki Okamoto, Satoko Okayama, Keiichiro Nakamura, Ken-ichiro Kosai, Takayuki Taniwaki, Yushiro Yamashita, Toyojiro Matsuishi
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Journal Title
Scientific Reports
Volume: 7
Pages: 12032
DOI
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