2015 Fiscal Year Research-status Report
胎児子宮内発育遅延の新しい病因・病態としての自然免疫受容体Nod1の解析
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15K19656
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
井上 普介 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90467902)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | Nod1 / 胎児発育遅延 / 血管病変 |
Outline of Annual Research Achievements |
(方法1)8~12週齢の野生型C57BL/6妊娠マウスのE14時にNod1リガンドを皮下注射した。6時間後と48時間後に安楽死させ、母獣の血清および心臓、胎盤、胎児を回収した。胎児は外観で生死を判別し、生児はホルマリン保存、またはタンパク分解酵素阻害剤入り溶液でホモジネートした。HE染色による病理学的評価と、サイトカイン測定(BD Cytometric Bead arrayのMouse Inflammation Kitを使用)を行った。(結果1)母獣にNod1リガンドを投与後、母児で炎症性サイトカインが上昇した。母児共に、血管周囲の炎症細胞浸潤は認めなかった。 (方法2)E18時に母獣へNod1リガンド投与し、6時間後に安楽死させた。胎児各種臓器のmRNAを回収し、IL-6とCCL2のqRT-PCRやサイトカイン測定を行った。(結果2)母獣Nod1 リガンド投与6 時間後、胎児の主に血管でCCL2 とIL-6 mRNA 発現が亢進した。 (方法3)父母獣のNod1遺伝子型を様々な組み合わせで交配し、E14母獣にNod1リガンドを皮下注射した。E16時に安楽死させ、仔の生死、仔の体重を評価した。またE18時に母獣にNod1リガンドを皮下注射し、6時間後の仔の血管をマイクロアレイ解析した。(結果3)IUFD およびIUGRは、母獣と胎仔両方のNod1遺伝子型に依存していた。Nod1リガンドは胎仔血管組織に直接作用し、炎症やアポトーシスに関連した遺伝子を変動させた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定した実験は予定通りに完了できた。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒトIUGR児臨床検体におけるNod1リガンドの有無を検討するために、九州大学病院の関係機関との共同研究として、臨床検体(母児血液、羊水、臍帯血)を集積し、揃い次第Nod1リガンド活性の調査を行う。検体を適宜分離処理し、LC/MS/MSMSを用いて既知のNod1リガンドと同じ物質を検索する。またNod1導入HEK293細胞によるNF-kB活性測定法(HEK-Blue™ hNOD1 Cells、InvivoGen)を用いて、臨床検体中のNod1刺激活性を測定する。
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Causes of Carryover |
実験動物や実験試薬の一部は、他研究の余りを使用できた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
より詳細な解析を行うために、マイクロアレイを用いた実験を追加する予定。また、ヒト検体におけるNod1リガンド活性の検出を多検体で行う予定。
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