2017 Fiscal Year Annual Research Report
Effect of valproic acid on murine embryonic heart and explication of molecular biology mechanism
Project/Area Number |
15K19659
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
金井 祐二 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (60448628)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | バルプロ酸ナトリウム / 先天性心疾患 / 心血行動態 / ヒストン脱アセチル化酵素 / 胎児催奇形性 |
Outline of Annual Research Achievements |
バルプロ酸ナトリウム(valproic acid:以下VPA)はてんかんや片頭痛などに適応があり妊娠可能な女性にも多く使用されている。しかし、VPAの子宮内暴露により先天性心疾患を含む胎児催奇形性が指摘されている。VPAのもつヒストン脱アセチル化酵素(Histone deacetylase:以下HDAC)阻害作用が催奇形性に関与しているとの報告があり、本研究は妊娠マウスを用い、VPAが胎児心臓に与える影響を検討することを目的とした。生理学的評価に小動物用超音波高感度イメージングシステムを用いて胎仔心血行動態を観察した。分子生物学的評価にVPAが阻害するHDACの発現とそれに関わる標的マイクロRNA(以下miRNA)を同定し、標的miRNAが発生段階における胎仔心臓への影響の検討を計画した。 妊娠在胎日齢(embryonic day:ED)7.0のマウスにVPA投与(投与群)し、VPA非投与群(生理食塩水)とED12.0の母体と胎仔の心血行動態の比較を行った。母体の心拍室量に差はなかった。胎仔心拍数と胎仔内頚動脈血流量がVPA投与群で有意に低かった。胎仔背側大動脈血流量と胎仔臍帯動脈血流量には両群間で有意差はなかった。出生仔マウスの生後1週、2週、3週、6週の体重はVPA投与群で有意に少なかった。超音波イメージングMモードでは両群とも心臓形態異常の所見は認められなかった。 今回、妊娠初期マウスへのVPA投与により、心臓形態形成期の胎仔心血行動態に影響を与え、出生仔マウスの体重増加不良の原因となる可能性があることが示された。今後仔マウスの心臓の組織学的検索により心臓形態異常の有無を評価し、分子生物学的に妊娠初期の胎仔心血行動態の変化が心臓に与えた影響を検討する予定である。妊娠可能な女性へのVPA投与に関しては胎児への影響も考慮し、適正な使用方法を検討する必要性があると考えられた。
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