2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K19664
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
浅井 哲 東海大学, 医学部, 助教 (70383867)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 羊膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は主に妊娠維持に関わる重要な因子やマトリックス細胞蛋白の発現プロフィール、今後活用する羊膜上皮細胞培養に関する基礎的検討を行い、今後の研究の礎となる結果を得た。妊娠維持に関連した既知の遺伝子で免疫寛容に関与すると考えられる胎児側因子のHLA-Gについては、辺縁羊膜ではHLA-G mRNAの発現が胎盤被覆羊膜に比べ9倍高発現していた。胎盤被覆羊膜におけるHLA-G mRNA発現レベルは低く母体組織である脱落膜と同等であった。免疫組織染色では羊膜ではどの部位でもHLA-G蛋白発現は認められなかったが、絨毛膜無毛部の栄養膜細胞では強く発現していた。一方、胎盤ではHLA-G蛋白発現は合胞体および細胞性栄養膜細胞では認められず絨毛外栄養膜細胞と考えられる細胞群でのみ強発現していた。妊娠維持・分娩発来に関与するステロイドホルモンの関連では、卵膜を含む妊娠組織は非常に高いエストロゲン環境に晒されているが、特異的受容体のERαは卵膜において発現していない。一方、ERβは発現がみられる脱落膜に比べ、羊膜ではERβmRNAはほとんど発現していないことが明らかとなった。またプロゲステロン受容体(PGR)は免疫組織染色では脱落膜以外の羊膜、絨毛膜、胎盤絨毛のいずれにも発現が認められなかった。羊膜全体のマトリクス細胞蛋白の発現については、高レベルのmRNA発現がSPARCとTSP1で認められ、妊娠の進行につれてSPARC発現低下傾向、TSP1は増加傾向を認めた。TSP2の発現レベルは低く妊娠中明らかな変化を認めなかった。また培養羊膜上皮細胞で細胞継代などの実験操作が表現型にどのような影響を与えるかについて、HLA-Gを指標に検討したところ、継代によりHLA-G mRNAレベルは劇的に減少することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の目的を達するために羊膜上皮細胞を用いた種々の検討を行う際には、継代細胞が適切でなく初代培養細胞を用いなければならない可能性があるなど、実験上の制約が明らかとなり、それに併せて実験計画を立て直す必要に迫られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の実験で、様々な実験条件の予備的検討ができたので、次年度はこれを足がかりに研究を推進する。
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Causes of Carryover |
当該年度では、培養羊膜上皮細胞の培養にあたり、継代細胞がつかえないことなど、実験上の制約が明らかになり、実験計画の細かな修正が必要になった。このことにより研究に必要な試薬購入などが結果的に安価で済むこととなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当該年度の検討結果を踏まえ、研究の進展に併せて今後様々なアッセイを予定しており、相応の資金が必要である。また成果発表に要する費用も発生する。今後とも実験結果をみながら、計画の細かな修正を行い、また効率的で無駄のない支出を行う。
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