2016 Fiscal Year Annual Research Report
Morphological and functional change of placenta and predictive biomarker for heart failure in fetus with congenital heart disease
Project/Area Number |
15K19666
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
三好 剛一 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 医師 (70626697)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 胎児心不全 / 出生前診断 / 超音波検査 / ナトリウム利尿ペプチド / バイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、胎児先天性心疾患における胎児心不全時の胎児-胎盤-母体間の病態変化を横断的に解析した。 胎児検体として羊水、臍帯血及び新生児血を分娩時に集積し、ナトリウム利尿ペプチドの疾患・病態別の解析を行った。心形態異常と不整脈に層別化して解析した結果、いずれも臍帯血及び新生児血中ナトリウム利尿ペプチドは心不全病態で有意に上昇しており、胎児超音波検査による心不全スコアの重症度と良好な相関を示した。形態異常そのものではなく、形態異常に伴う房室弁逆流や不整脈による壁応力の増大によって、ナトリウム利尿ペプチドの産生が亢進すると考えられた。特に胎児頻脈性不整脈ではBNPの上昇が特徴的で、胎児治療により正常と同等にまで低下したことから、不整脈治療中の心機能障害診断に有用と考えられた。羊水中では、NT-pro BNPが胎児心不全の重症度と相関を認め、胎児心機能を反映する即時的なバイオマーカーとして臨床応用の可能が示唆された。 胎盤では、胎児心不全の重症化に応じて胎盤絨毛内のリンパ管様脈管の増生、水腫様変性、線維化、胎児有核赤血球などの特異的な変化が認められ、胎児心不全に伴う変性的変化や代償性変化が示唆された。胎児心不全胎盤のDNAアレイ解析及びパスウェイ解析を実施中である。 母体血では、胎児心不全、胎児不整脈出現時に変化するバイオマーカー(サイトカイン類、ホルモン類)を網羅的に探索した。胎児心不全時の母体血中マーカーとして、sFASL、TGF-αが候補分子として同定された。今後、胎児頻脈性不整脈の胎児治療中における経時的な変化を検証していく予定である。
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