2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K19698
|
Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
國本 梨沙 札幌医科大学, 医学部, 助教 (20468094)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | SIRT1 / Prl2c3 / 細胞老化 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は酵母等で寿命を延ばす働きを示す長寿遺伝子(サーチュイン)の一つSIRT1によって発現が著しく抑制され、老化細胞で強く発現するProlactin like peptide 2c3(Prl2c3)という分子を同定した。Prl2c3は糖蛋白質であるため、培養細胞(COS7細胞)を用いてFLAG tagを結合させたPrl2c3を発現させ、発現したPrl2c3をanti-FLAG抗体結合レジン(Wako純薬)で精製した。精製したPrl2c3を各種培養細胞(MEF細胞、B16F1メラノーマ細胞、C2C12筋芽細胞)に作用させ、細胞老化が起きるか検討した。また、DNA microarray法によりPrl2c3による遺伝子発現変化を調べた。 細胞数や、 the Cell Titer-Glo Luminescent Cell Viability Assay (Promega)を使ってATPレベルの検討、CytoTox 96 Non-Radioactive Cytotoxicity Assay (Promega)を使ってLDH活性を検討したところ、Prl2c3を作用させた細胞で細胞数、ATPレベル、LDH活性が著明に減少し、細胞増殖を抑制することがわかった。なお、細胞死への影響は無かった。 細胞の形態についても検討した。一般的に老化した細胞の形態は若い細胞に比べて、扁平で大きくなる。Prl2c3を作用させたMEF細胞、B16F1細胞、C2C12細胞もcell sizeが増加し、細胞内小胞も増加した。老化関連マーカーSA-β-gal染色でも老化を確認できた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度に計画していた、Prl2c3の受容体の同定が難航している。 また、モノクローナル抗体を委託により作成したが、上手く機能せず、ヒト血中のPrl2c3測定系の完成がまだしていない。 ただ、来年度に実験計画していたトランスジェニックマウスの作成は順調に進行している。
|
Strategy for Future Research Activity |
Prl2c3は皮膚基底細胞や毛包に発現する。そこで、皮膚基底細胞や毛包でPrl2c3を過剰に発現するマウスを作成する。ケラチン5は皮膚基底細胞や毛包に限局して発現することが報告されているため(Diamond I et al. J Invest. Dermatol. 115, 778, 2000) 、ケラチン5のプロモータ領域をPCRでクローン化して、Prl2c3遺伝子の上流に結合させたコンストラクトを作成し、トランスジェニックマウス(Prl-TGマウス)を作成する。 作成したPrl2c3トランスジェニックマウス(Prl-TGマウス)についてそのdevelopment、 皮膚、毛、さらに寿命を正常マウスと比較検討する。SA-beta ガラクトシダーゼ染色により老化細胞の数や分布を組織学的に検討して、Prl-TGマウスで細胞老化が進んでいるか検討する。細胞老化で発現が高まるp16, p21, p27やPAI-1、さらにIL-6, IL-8などのsenescence associated secretary pathway (SASP)の発現亢進が見られるか、抗体を用いた免疫組織及びWestern blotやRT-PCR法で調べる。また、agingとの関連を調べるためにいろいろな年齢のPrl-TGマウスと同年齢のコントロールマウスの組織を比較することにより明らかとする。
|
Causes of Carryover |
現在、未就学児子育て中で、遠方の学会参加が困難なため、旅費を使用できなかった。 計画していたPrl2c3受容体関連の実験やモノクローナル抗体を使用した実験が今年度中にできず、次年度に繰り越しになった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度に計画通り実行できなかった実験と、さらに来年度以降のトランスジェニックマウスを使用した実験に使用する予定である。
|