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2015 Fiscal Year Research-status Report

間葉系細胞による微細環境制御を活用したヒト毛包再生促進技術の開発

Research Project

Project/Area Number 15K19703
Research InstitutionKyorin University

Principal Investigator

木下 美咲  杏林大学, 医学部, 助教 (40594594)

Project Period (FY) 2015-04-01 – 2017-03-31
Keywords毛包新生 / 線維芽細胞 / 毛乳頭細胞 / FGF / WNTシグナル
Outline of Annual Research Achievements

ヒト健常皮膚より毛乳頭細胞、結合組織鞘細胞、線維芽細胞を分離、単独培養した上でtotal RNAを抽出、cDNAに変換し、毛包新生に重要とされるFGFファミリーの各種類についてPCR解析を行った。その結果、単独培養した線維芽細胞では毛包新生に抑制的に働くことが報告されているFGF5, 13, 18の発現が他の細胞に比して高かった。
次にWNTシグナルを活性化させる低分子化合物CHIR99021を含む培養液で線維芽細胞を単独培養し、それぞれのFGFの発現をリアルタイムPCRで解析したところ、FGF7の発現は著明に抑制された一方で、FGF9, 16, 20の発現は有意に上昇した。さらにFGF7, FGF9の発現は加えたCHIR99021の濃度に依存して変化することが示された。FGF7, 9はそれぞれ毛包新生に対し抑制的、促進的に働くことが報告されている。これらの結果より、WNTシグナルの活性化により繊維芽細胞でのFGFの発現プロファイルが変化することで毛包新生に促進的な微小環境が形成される可能性が示唆された。
次に、線維芽細胞で起こる上記のプロファイル変化が毛乳頭細胞に与える影響を検証するため、FGF7, 9それぞれを加えた培養条件で毛乳頭細胞を48時間単独培養し、毛包新生に重要とされる各遺伝子の発現をリアルタイムPCRで検証したところ、FGF9添加条件下ではRGS2, SPRY4, NOGの発現が上昇した。
上記の結果よりWNTシグナル発現の変化により引き起こされる毛包周囲線維芽細胞のFGFプロファイルの変化が毛乳頭細胞に影響することで毛包新生に対して促進的な微小環境が形成される可能性が考えられた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

当初予定していた平成27年度の研究実施計画に含まれる間葉系細胞の分離培養を行い、毛包新生に必要なメディエーターの一つであるFGFに着目して各細胞におけるプロファイルの遺伝子レベルでの解析を完了した。
さらにWNTシグナル活性条件下での線維芽細胞のプロファイリング変化を解析し、濃度依存性に変化することを確認した。
さらにこれらの変化が毛乳頭細胞における各メディエーター発現に与える影響を検証したことで、平成27年に計画されていた課題をほぼすべて完了したといえる。
一方で解析はPCRによる遺伝子レベルに限られ、ELISAやウェスタンブロットによるタンパクレベルでの解析は未施行である。
以上より本研究は完全ではないものの、おおむね順調に進展していると考えた。

Strategy for Future Research Activity

平成27年度の研究成果として、WNTシグナルが線維芽細胞に与えるFGFプロファイルの変化および、その結果として起こる毛乳頭細胞での各メディエーターの発現プロファイル変化が得られた。これらの変化を踏まえ、次に毛乳頭細胞とケラチノサイトの相互作用に着目する。特に毛包新生において重要と考えられ、我々の実験でもWNTシグナル刺激により有意な発現変化を示したFGF7, 9につき、それらの組み換えタンパクを添加した培養条件下でケラチノサイトの単独培養およびケラチノサイトと毛乳頭の共培養を行い、毛包関連マーカー(KRT75, TRPS1, MSX2, LEF1など)のプロファイル変化を検証する。有意な変化が得られた場合には適切条件化での培養上清を共培養系に加えて同様の結果が得られるかを検証する。
またin vitroの解析で得られた遺伝子の発現変化が実際に毛包再生の効率を向上させるか、in vivoの実験系を用いて検証する。具体的にはKRT75, TRPS1, MSX2, LEF1などの添加下で培養された線維芽細胞または結合織鞘細胞、毛乳頭細胞、表皮細胞をマウス皮下に共移植し、5-6週後に回収する。形態学的評価、免疫組織科学的評価、遺伝子発現解析などを用いて活性化因子添加間葉系細胞が毛包再生に与える影響について評価する。これらの実験によりケラチノサイトでの毛包マーカー(KRT75, KRT33A, TRPS1など)の遺伝子レベルでの上昇をPCRを用いて確認し、毛包再生促進効果を評価する。

Causes of Carryover

当初300000円の旅費を直接経費の交付予定額に含んでいたが、研究代表者が取得した参加学会からの旅行助成金および所属施設からの支出で賄うことができた。
各プライマーおよびRNA抽出、cDNA化、PCRに必要な試薬に関して、研究代表者が所属する研究室ですでに保有していたものを使用することができた。

Expenditure Plan for Carryover Budget

・研究に関連した学会参加のための旅費に使用する。
・ヒト余剰皮膚から得られる各間葉系細胞に限りがあり必要な母数を獲得するための各種細胞の購入に使用する。

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Published: 2017-01-06  

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