2016 Fiscal Year Annual Research Report
プロテオミクス技術を用いた炎症性うつ病に関わる新規分子の探索
Project/Area Number |
15K19711
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
張 継春 千葉大学, 社会精神保健教育研究センター, 特任助教 (00733320)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 脳・神経疾患 / 炎症 / 薬理学 / BDNF-TrkBシグナル / ニコチン受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
多くの研究から、炎症がうつ病の病因・病態に関わっている事が指摘されている。2003年に、ニコチン受容体のサブタイプの一つであるα7サブタイプが、炎症の重要な因子であることが報告された(Wang H. et al. Nature 2003)。α7ニコチン受容体遺伝子欠損マウスのうつ症状の機序を解明する事を目的に、α7ニコチン受容体遺伝子欠損マウスのうつ症状に関わる新規分子を最新のプロテオミクス技術を駆使して探索し、α7ニコチン受容体遺伝子欠損マウスのうつ症状発現の機序を明らかにした。 本研究期間において、α7ニコチン受容体遺伝子欠損マウスと野生型マウスを用いて、うつ症状の行動評価(自発運動量、尾懸垂試験、強制水泳試験、1%ショ糖嗜好性試験など)を実施し、α7ニコチン受容体遺伝子欠損マウスはうつ症状を呈することを見出した。またα7ニコチン受容体遺伝子欠損マウスの血清中では、炎症性サイトカイン濃度が、野生型マウスより有意に高値を示した。興味深いことに、側坐核における脳由来神経栄養因子BDNFおよびその受容体であるTrkBが亢進していることを見出し、側坐核におけるBDNF-TrkBシグナルの亢進が、うつ症状に関わっていることを薬理学的実験より明らかにした。これらの研究成果は、2016年11月8日にScientific Reports誌に掲載された。 さらに、最新のプロテオミクス技術(iTRAQ法)を用い、α7ニコチン受容体遺伝子欠損マウスの側坐核で変化している新規分子(EphA4系)を見出すことに成功し、うつ病の病因におけるEphA4シグナルの役割を明らかにした。
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Research Products
(4 results)