2016 Fiscal Year Research-status Report
慢性疼痛に対する抗うつ薬治療と認知行動療法の神経科学的修復機構の解明
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15K19730
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
吉野 敦雄 広島大学, 医歯薬保健学研究院(医), 特任助教 (90633727)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 慢性疼痛 / 認知行動療法 / fMRI |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性疼痛は一般人口の5 人のうち1 人にみられる非常に頻度の高い症候であり、ADL の低下、うつ病などの精神疾患の併発など身体・精神機能に大きな悪影響を引き起こす。抑うつや生活活動の制限といった心理社会的影響が疼痛の慢性化・難治化にかかわる主要因といわれており、抗うつ薬治療や認知行動療法など多面的治療が必要である。しかし現時点では両治療法の効果は十分とはいえず、更なる治療工夫が求められている。そのためには両治療法の治癒過程における神経科学的修復機構を明確にすることは大変重要である。本研究は慢性疼痛に対して抗うつ薬、認知行動療法の治療を行い、神経科学的修復機構の異同を明らかにすることを目的とする 【平成28年度】 慢性疼痛に対する抗うつ薬、認知行動療法前後での疼痛・精神症状・QOL、神経科学的評価のデータ収集を継続した。また蓄積されたデータを用いて解析を行い何報か論文を投稿した。そのうち慢性疼痛の脳機能的メカニズムを把握するためにうつ病、健常者との安静時脳機能活動を比較した論文が受理された(Scientific Reports)。慢性疼痛においてうつ病や健常者と比較して背外側前頭前皮質の活動低下が認められ、さらに背外側前頭前皮質と視床との機能的結合がうつ病や健常者と比較して低下していた。これらの結果は慢性疼痛とうつ病の異なる脳機能的メカニズムの存在を示唆したものであり、今後のさまざまな研究にある一定の影響を与えるものであると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
慢性疼痛に対して、おおむね順調に治療介入ならびに治療前後のデータを蓄積しており、またその一部の内容を平成28年度内に国際誌にて何報か投稿し、そのうち一報受理されるなど、一定の成果を上げることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
慢性疼痛に対する抗うつ薬、認知行動療法前後での疼痛・精神症状・QOL、神経科学的評価のデータ収集を継続する。またそれぞれのデータを比較検討することによって治療効果および、抑うつ、慢性疼痛の神経科学的修復機構の異同を解明する。
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Causes of Carryover |
平成28年度において実施する予定であった研究計画に若干の遅れが生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究費を次年度に一部繰り越し、平成29年度の早い時期にそれらの研究(平成28年度分の研究の一部である慢性疼痛患者に対する情動疼痛課題)を行うことにした。
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