2015 Fiscal Year Research-status Report
統合失調症患者の社会機能障害についての多角的脳画像研究
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15K19735
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
織部 直弥 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), その他 (70730498)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 統合失調症 / 顔刺激 / 脳磁図 / 機能的MRI / 社会機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
現代社会に損失をもたらしている統合失調症患者の社会機能障害には顔認知機能の障害が大きく関与していると考えられる。統合失調症患者では疾病の経過を通じて存在する顔認識処理の障害があり、このことがこのような患者の社会機能の低下に、大きな影響を与えていることが知られている。今回の研究では顔刺激処理に関する脳機能異常を多角的に明らかにすること、ii) 顔刺激処理についての脳機能異常に関与する脳領域について構造解析を行い、機能障害の背後にある病態について明らかにすることにある。最終的には病状の客観的評価、診断、社会復帰へ向けた治療や治療評価への応用を目標としている。 H27年度は、脳磁図を用いて顔刺激に対して特に大きく反応するM170という成分について解析を行い、統合失調症患者ではM170 の振幅が減少していることを明らかにした。また、機能的MRIを用いて、顔刺激に関する脳機能を解析するためのセッティングをすすめた。具体的には、現在研究用として世界的に広く使われている顔・表情刺激は、非アジア人のものが殆どであり、今回日本人の俳優を用いて、新たな顔・表情刺激用写真の撮影を行い、妥当性を評価した。妥当性の評価を得られた刺激を用いて、機能的MRI用のタスクを作成した。さらに、機能的MRIと同時に眼球運動計測を行えるように、眼球運動計測装置のセッティングも行い、まずは健常者での撮像を開始している。H28年度には、被験者を増やし、統合失調症群での撮像も順次行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
脳磁図に関しては解析まで概ね終わっている。 機能的MRIについては、オリジナルの顔刺激の作成、眼球運動計測の同時測定など、当初の予定よりもさらに研究の精度をあげるための工夫が出来ており、次年度から撮像をすすめていくためのセッティングをすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き脳磁図、機能的MRIのデータ収集を続ける。 機能的MRIを取得した統合失調症患者については、メタ認知トレーニングを行い、可能であればトレーニング後に再検査を行う予定である。
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Causes of Carryover |
機能的MRIに関して、セッティングを行う段階までしかいかず、データ解析を行う段階まで進まなかったため、データ解析に必要なコンピューター、データ保存のためのハードディスクドライブなどの購入を行わなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
MRIデータ解析のためのコンピューター、データ保存のためのハードディスクドライブなどの購入を行う。また、海外の共同研究者とのミーティングや、研究成果を国内外の学会等で発表するための旅費も必要である。
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