2015 Fiscal Year Research-status Report
統合失調症・気分障害患者における突然死の素因探索と予防法の立案
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15K19745
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
岡安 寛明 獨協医科大学, 医学部, 助教 (80459619)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 心臓突然死 / QT間隔 / QT dispersion / Tpeak-end / 抗精神病薬 / 抗うつ薬 / 心電図異常 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度においては、向精神薬の使用と心臓突然死の危険性についての関連を評価するために、統合失調症患者151名と気分障害患者378名を対象にそれぞれ抗精神病薬や抗うつ薬などの服用している薬剤データを収集し、同時に心電図測定を行い、QT間隔、QT dispersion、Tpeak-endを測定した。内服薬の種類やその用量などの臨床データと心電図より得られた情報との関連を重回帰分析を用いて解析した。統合失調症患者においては、抗精神病薬の使用は、QT dispersion、Tpeak-endともに関連性を認めなかったが、炭酸リチウムの使用が用量依存性にQT dispersionと、Tpeak-endの延長と関連があることを確認した。気分障害患者においては、三環系抗うつ薬の使用が用量依存性にQT dispersionの延長と関連があることを確認したが、Tpeak-endでは、どの薬剤も関連性は指摘されなかった。また、薬物治療を受けている気分障害患者215名と健常者165名との間で、心電図データを一般線形モデルを用いて比較し、QT dispersionにおいて有意差があることを確認したが、Tpeak-endでは、有意差を確認できなかった。上記内容の一部を第25回日本臨床精神神経薬理学会(2015年10月30日)で発表した。現在、上記結果を、英語論文としてまとめている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度の計画通り、統合失調症患者、気分障害患者を対象に内服薬と心電図上のQT dispersion及びTpeak-endとの関連を検討することができた。また、統合失調症と心臓突然死の両方に関連が指摘されている遺伝子の解析に関しても、現在、100人程度検体の収集が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
統合失調症と心臓突然死の両方に関連が指摘されている遺伝子(KCNH2、AKAP、NRG1)のmRNAを全血中から抽出し、定量的PCR法を行い、各mRNA発現量を求め、統合失調症患者と健常者との比較をする。また、mRNA発現量とQT間隔との相関を検討する。
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Causes of Carryover |
予定していた金額より、購入金額が安かったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の研究で引き続き、併せて研究に必要な物品の購入に用いる。
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