2016 Fiscal Year Research-status Report
統合失調症・気分障害患者における突然死の素因探索と予防法の立案
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15K19745
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
岡安 寛明 獨協医科大学, 医学部, 講師 (80459619)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 心臓突然死 / QT間隔 / QT dispertion / Tpeak-end / 抗うつ薬 / 抗精神病薬 / 心電図異常 |
Outline of Annual Research Achievements |
抗うつ薬と心臓突然死との危険性についての関連を評価するために、気分障害患者378名を対象に服用している抗うつ薬の種類やその用量などの臨床データを収集し、同時に心電図測定を行い、QT間隔、QT dispertion、Tpeak-endを測定し、得られた情報との関連を重回帰分析を用いて解析した。その結果、三環形抗うつ薬の使用が用量依存性にQT間隔とQT dispertionの延長に関連があることを確認したが、Tpeak-endとの関連性はどの薬剤も関連性は指摘されなかった。上記のことを英語論文としてまとめ、現在専門誌への投稿準備を進めている。 また、統合失調症患者83名と健常者61名を対象に、統合失調症と心臓突然死の両方に関連が指摘されている遺伝子(KCNH2、AKAP9977、AKAP9978、NRG1)のmRNAを全血中から抽出し、定量的PCR法を行い、AKAP9977、AKAP9978、KCNH2、NRG1の各mRNA発現量を求め、housekeeping geneである Glyceraldehyde 3-phosphate dehydrogenase (GAPDH)もしくはbeta-actinのmRNAとの比を求め、統合失調症患者と健常者のmRNA発現量を Mann-WhitneyのU検定で比較した。また、mRNA発現量と、QT間隔との相関をSpearmanの順位相関係数を用いて、検討した。AKAP9977のmRNA発現量は、共に健常者と比べて、統合失調症患者の方が、有意に低く、NRG1のmRNA発現量は、共に健常者と比べて統合失調症患者の方が、有意に高いことを見出した。また、QT間隔と各種mRNAとの間で相関は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度の計画通り、統合失調症と心臓突然死の両方に関連が指摘されている遺伝子の解析を行うことができ、また、気分障害患者における内服薬と心電図以上に関する論文の作成も順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、統合失調症と心臓突然死の両方に関連が指摘されている遺伝子(KCNH2、AKAP、NRG1)のmRNAを全血中から抽出し、定量的PCRT法を行い、各mRNA発現量を求め、統合失調症患者と健常者との比較をする。また、mRNA発現量とQT間隔との相関を検討する。現在までに抗精神病薬を服用し、脈拍で補正したQT間隔が440msec以上を示した患者約20人のDNAを採取している。これら患者のKCNH2、AKAP9977、AKAP9978、NRG1の各遺伝子のエクソン部分をリシークエンスし、問題が見られるかどうかを検索する予定としている。また、統合失調症患者の内服薬と心電図異常に関する結果を論文としてまとめる。
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Causes of Carryover |
予定していた金額より、購入金額が少なかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の研究で引き続き、併せて研究に必要な物品の購入に用いる。
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