2016 Fiscal Year Research-status Report
アルツハイマー病に対するプロスタグランジン受容体阻害薬を用いた治療の検討
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15K19752
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
長野 貴之 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (10368516)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ミクログリア / プロスタグランジン / インターフェロン |
Outline of Annual Research Achievements |
プロスタグランジンEP受容体阻害薬のアルツハイマー病治療の可能性について研究を行うために、昨年度は、prostaglandin E2 (PGE2)の培養ミクログリアの一酸化窒素遊離に対する効果の検討を行った。その結果、ミクログリアはinterferon-γ (IFN-γ)により一酸化窒素を遊離すること、また、IFN-γによる一酸化窒素の遊離はPGE2により増強され、このPGE2の作用はEP2を介していることが示唆された。 本年度は、この結果をさらに追求するため、EPアゴニストもしくはEPアンタゴニストを用いて、一酸化窒素の遊離に関与するinducible nitric oxide synthase (iNOS)の発現量を検討した。培養ミクログリアのiNOSタンパクはIFN-γを24時間処置すると少なくとも10-6 g/mLまで用量依存的に発現が増加した。10-7 g/mLのIFN-γによるiNOSの発現誘導はEP2アゴニストであるbutaprostを併用することにより増強された。その他のEPアゴニストの17-phenyl trinor PGE2, sulprostone、L-902688はIFN-γによるiNOSの発現誘導に影響を与えなかった。一方、EPアンタゴニストのうち、EP2アンタゴニストであるPF-04418948はPGE2によるIFN-γのiNOSの発現誘導の増強作用を抑制した。その他のEP アンタゴニストのSC-51322, L-798106、GW627368XはPGE2によるIFN-γのiNOSの発現誘導の増強作用に影響を与えなかった。以上の結果から、IFN-γによるミクログリアのiNOS発現誘導はPGE2の受容体のEP2受容体を活性化することにより増強されることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題では平成28年度において、細胞を用いた実験と動物を用いた実験を計画していた。 細胞を用いた実験は順調に進展し、培養ミクログリアのIFN-γによるiNOS発現誘導に対するEP受容体の関与について確認できた。一方で、動物を用いた実験に関しては着手ができなかった。予定のエフォートを超えて課題に取り組んだが、当初の計画を遂行することはできなかった。したがって、全体としてはやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画の順番に基いて遂行していく。 平成28年度に予定していたものの遂行できなかった実験から行っていき、できる限り計画に追いつけるように努力したい。
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Causes of Carryover |
研究計画の遂行が遅れているため、それに伴い次年度使用額が生じている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初の計画に基いて使用していくつもりでいる。 今後の研究の推進方策に従い、研究費も平成28年度未使用分から順次使用していき、できる限り計画に追いつけるように努力する。
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Research Products
(2 results)