2015 Fiscal Year Research-status Report
扁平上皮癌の増殖・糖代謝の制御に関わる時計遺伝子DECの機能解析
Project/Area Number |
15K19763
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
清野 浩子 弘前大学, 医学部附属病院, 医員 (30598727)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 時計遺伝子 / 食道癌 / 扁平上皮癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
時計遺伝子(Clock genes)は、およそ24時間周期で振幅発現する遺伝子であり、その機能により、24時間周期を示す生物活動を制御している。時計遺伝子DEC1およびDEC2は、Basic-helix-loop-helix(bHLH)型転写因子であり、時計中枢である視交叉上核のみならず、全身の組織および細胞で、概日リズムを形成している。また、免疫応答系や様々な組織分化の制御、癌化や低酸素応答、アポトーシス制御など、生体内における多彩な制御機能を担っている。 我々は、時計遺伝子発現が、ヒト扁平上皮癌細胞株のリンパ管新生(リンパ節転移)に及ぼす影響を検討した。3種の分化度の異なるヒト扁平上皮癌細胞株(TE5,TE10, TE11)のうち、ポドプラニン発現はTE11で強く、TE5では弱かった。一方、TE10ではポドプラニン発現は認められなかった。TE11におけるDEC1 overexpressionでは、ポドプラニン発現は促進された。逆に、TE11におけるDEC2 overexpressionではポドプラニン発現は抑制された。これらの結果から、DECはポドプラニン制御を介して、ヒト食道癌細胞株のリンパ管新生を制御していることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト食道癌細胞株とポドプラニンとの関係を検討することより、ヒト食道癌細胞株における時計遺伝子の意義を一部明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト食道癌に焦点を絞り、細胞レベル・組織レベルで時計遺伝子の役割を明らかにする。 (1) ヒト食道癌細胞における概日リズムを誘導し、食道癌の増殖・浸潤・代謝に関わる日内リズムの分子機構を解析する。 (2) ヒト食道癌症例において、FDG PET/CTと外科切除材料の検討を行い、糖代謝(特にFDG集積・GLUT発現量など)・転移(特にポドプラニン発現・リンパ節転移など)とDEC発現の関連に着目しつつ、DECのヒト食道癌における臨床的意義を検討する。
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